かつてマクラーレンで2度F1チャンピオンに輝いたミカ・ハッキネンが、先週末のF1モナコGPで起きた大きなクラッシュに関し、マックス・フェルスタッペン(トロロッソ)を擁護する発言を行った。
21日(木)に行われたモナコGPフリー走行1回目では、初めて走ったモンテカルロ市街地コースで2番手タイムを刻んでみせたフェルスタッペン。このときは、各メディアがこぞってこの17歳の若者の才能の高さを称賛していた。
ところが、24日(日)に行われた決勝では、ホームストレート上で前を行くロマン・グロージャン(ロータス)のスリップストリームに入ったフェルスタッペンが、グロージャンのマシンに激しく追突。フェルスタッペンはそのままかなりのスピードでサン・デボーテと呼ばれるターン1のバリアに突っ込んでしまっていた。
すると今度は、多くのメディアがフェルスタッペンの17歳という年齢や、経験不足を一斉に指摘。メル・ギブソン主演でシリーズ化された映画のタイトルをもじって「マッド・マックス」というあだ名さえつける始末だ。
そして、F1統括団体であるFIAも、その事故責任はフェルスタッペンにあるとして、次戦カナダGP(6月7日決勝)での5グリッド降格に加え、2ポイントのペナルティーポイントを科すという裁定を行っている。
だが、フェルスタッペンは、27日(水)に、自身の公式サイトを通じて、その事故が起きたのはグロージャンが「ブレーキテスト」を行ったためだと主張している。
ブレーキテストとは、後方から追い上げてくるライバルドライバーのリズムを狂わせるために本来のブレーキングゾーンではない場所で突然急ブレーキを踏む危険な行為を指すものだ。
ハッキネンは、今回の事故に関し、母国フィンランドの『Ilta-Sanomat(イルタ・サノマット)』に次のように語っている。
「グロージャンは、それまでの周回のときとは違うラインを走っていた」
「それに、あのときはスピードもそれまでとは違っていたよ。もしあのときロータス(グロージャン)がそれまでと同じスピードとラインで走行していたら、(フェルスタッペンの)追い抜きは成功していたはずだ」
「僕の意見だが、今回のペナルティーは正しくないよ」
フェルスタッペンと同じオランダ出身の元F1ドライバーであるヤン・ラマースも、今回のフェルスタッペンに対するペナルティーには不満を抱いている。
ラマースは、『De Telegraaf(テレグラーフ)』に対し、なぜFIAがフェルスタッペンにペナルティーを下す決定をしたのか「理解に苦しむ」と語り、次のように続けた。
「F1に関係するものなら誰であれ、マックスが登場したことを神に感謝すべきだよ」
「彼のおかげで、みんなが再びF1をいすの上で前かがみになりながら見るようになったんだ。そうしたら今回のペナルティーだ。一体何を考えているのか分からないよ」
「彼がまだ17歳だから、ここで彼に注意を与えておきたかったのだなどと言うのは、あまりいい理由だとは思えないね。ああしてバリアに突っ込んだことだけでも十分な注意になるわけだし」
一方、フェルスタッペンに対するFIAの裁定に疑問を呈したハッキネンだが、モナコの決勝レース中にフェラーリのキミ・ライコネンと接触して順位を上げたダニエル・リカルドのほうにこそペナルティーを与えるべきだったと次のように主張している。
「ダニエルはこれまでに何度もそういうことをやってきたよ。誰かが少しでもすき間を空けると、大きなリスクがあるかどうかなど何も考えずに、すぐにそこに突っ込んでいってしまうんだ」