マクラーレン・ホンダにとってシーズン序盤戦は厳しいものになりそうだ。チームもそれを覚悟している。
昨年、F1エンジン規格が一新。「パワーユニット」時代の幕開けはどのチームも苦しんだが、今季は2年目とあって順調な仕上がりだ。例外はマクラーレン・ホンダである。新規参入のホンダ製エンジンを積むMP4-30は、スピードが上がらないばかりか周回を重ねるのさえ一苦労だ。
さらに先月22日(日)のセッションで事故を起こしたチームのエース、フェルナンド・アロンソは静養中だ。しかし、そのアロンソに代わって28日(土)に初めてMP4-30に乗った控えドライバーのケビン・マグヌッセンは、メルセデス・エンジン搭載の昨年型マシンよりいいとの印象を語っていた。
「基本線、いいマシンだ」とマグヌッセン。「より安定感がある。走りが落ち着いているし、去年のマシンより挙動を予測しやすい。ドライバビリティが向上しているんだ」
「去年のクルマはすごく敏感でね。運転しづらかった」
「空力もメカニカル面も全体的にいい感じだ」
だが、ヘレスでもバルセロナでも開発がスケジュール通りに進まず、マグヌッセンによると、さすがの新車MP4-30も熟成された昨年型に比べて「どうもグリップが足らない」のだという。
それも、12日に及ぶ冬季テスト期間も残り一日となった28日(土)の話だ。開幕戦メルボルンまで、あと2週間しかない。
「思ったより準備不足となりそうだ」と認めるのは、チームのレーシング・ディレクター、エリック・ブーリエだ。「だが、ベストは尽くす」
「マシン全体がちゃんと作動しているのはいいが、明らかに信頼性への懸念がある」
「どれだけ時間が必要かは分からない。少なくとも数戦は必要ではないか。ヨーロッパ・ラウンド(第5戦スペインGP以降)までには競争力が増すはずだ」
とブーリエは語った。