メルセデスAMGのトト・ヴォルフ(ビジネス担当エグゼクティブディレクター)は、2015年も昨年のように圧倒的な支配力を示すことができるとは考えていないようだ。
新たなV6ターボエンジンによるパワーユニットが導入され、大幅にレギュレーションが変わった2014年シーズンは、メルセデスAMGが19戦中16勝を挙げるというけた外れの強さを見せ、ライバルたちをたたきのめして終わった。
だが、ヴォルフは、F1のような世界ではその栄光の上にあぐらをかいていたのではすぐに「足をすくわれてしまうだろう」と考えている。
■昨年ほどの圧倒的リードを築くのは難しい
「とりわけ、我々が2014年に打ち立てた記録を破るのは難しいだろう」
ドイツの『Sport Bild(シュポルト・ビルト)』にそう語ったヴォルフは次のように続けた。
「19戦のうち16戦で優勝できるなんて、普通では考えられないことだ」
「それと同じことをまたやりたいと思うのは厚かましいだろうね」
■フェラーリだってあなどれない
ヴォルフも、今年も最大のライバルとなるのは昨年同様レッドブルとウィリアムズとなるだろうと予想している。
しかし、メルセデスAMGのドライバーであるニコ・ロズベルグが、たとえ4年連続F1チャンピオンであるセバスチャン・ベッテル(元レッドブル)を迎えたにしてもフェラーリには今年もチャンスはないだろうと語ったことが報じられたが、ヴォルフの考えは少し違うようだ。
「ベッテルはフェラーリに新鮮な空気を吹き込むだろうと思っている」とヴォルフ。
「4年連続F1チャンピオンであり、やる気に満ちたドライバーと契約すれば、そのことがチームに及ぼす影響を過小評価するわけにはいかないよ」
■レッドブルがベッテルを失った影響は大きい
同時に、ヴォルフは2010年から2013年までF1タイトルを獲得したベッテルが移籍したということは、「レッドブルにとっては痛手だろう」とし、次のようにその理由を説明した。
「彼(ベッテル)はレッドブルとともに信じられないほどの経験を積んできたわけだからね。それにドライバーとしても、いろいろな意見はあるようだが、私から見れば彼は最高レベルのドライバーだよ」
「(ダニエル)リカルドも大きな役割を担うことができることは示したし、(ダニール)クビアトも素晴らしい才能を持っている。それでも、彼らにはもっと時間が必要だね」とヴォルフは付け加えた。