フェラーリの前チーム代表であったステファノ・ドメニカリが来週からアウディでの勤務を開始することになると伝えられている。
ドメニカリがフォルクスワーゲンの傘下にあるアウディに加入するというニュースが伝えられたのは今月初旬のことだった。
そのニュースを期に、アウディに関してはいくつかのうわさがささやかれることになった。そのひとつが、アウディでは現在参戦しているWEC(世界耐久選手権)からF1にその戦いの場を移そうとしているのではないかというもので、しかも、アウディは2016年からのF1参戦を目指しており、そのF1カーのコックピットに座るのはドメニカリのかつての仲間であり、友人でもあるフェラーリのフェルナンド・アロンソではないかという尾ひれまで付けられることになった。
イタリアの『Corriere della Sera(コリエーレ・デラ・セラ)』は、49歳となるドメニカリは先週の頭にアウディと正式に契約を交わしており、来週インゴルシュタットにあるアウディのオフィスに入ることになると伝えている。
これに関しては、数日中に正式発表が行われるものと考えられている。
これまでの報道内容を見る限り、ドメニカリがすぐにレース部門に就くことはなさそうだ。伝えられるところによれば、ドメニカリは「サービスと移動手段」のエリアにおけるビジネス開発に従事することになると言われている。
だが、そうした報道をうのみにしている者ばかりではないのも事実だ。
ドイツ人ジャーナリストであるラルフ・バッハは、『Sport Bild(シュポルト・ビルト)』に次のように書いている。
「なぜスタッドラー(アウディ会長のルパート・スタッドラー)は、“サービスと移動手段”のためにイタリア人F1関係者と契約などしたのだろう?」
「ドメニカリとの契約は、彼ら(アウディ)がF1に進出するために、それを導いていく力を持つ者が必要だという場合にのみ意味をなすものだ」
さらに、アウディではすでにフォルクスワーゲンと関係のあるトロロッソ、もしくはレッドブルと手を結んでいるのではないかともうわさされている。あるいは、財政的に苦境に立たされているザウバーとの関係を指摘するうわさもある。伝えられるところによれば、すでにザウバーではヒンウィルにある風洞施設をアウディに1月あたり200万ユーロ(約2億7,500万円)で貸し出しているとも言われている。
アウディでは最近のこうしたうわさに対し、今後もWECやDTM(ドイツ・ツーリングカー選手権)やGT選手権、そして2015年からは新たにアウディ・スポーツTTカップの開催を計画しており、F1に進出する予定はないとしている。
「アウディがF1に行くかって?」
アウディの広報担当者はそう口を開くと、次のように続けた。
「こうしたうわさはもう何年もささやかれ続けてきている。今回も何の根拠もない憶測に過ぎないよ」