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ビアンキの事故を受け、F1日本GPの運営判断に割れる意見

2014年10月07日(火)17:15 pm

5日(日)に行われたF1日本GP決勝で、マルシャのジュール・ビアンキが重傷を負う事故が発生したが、夕闇がせまり、雨もまた降り始めていた段階でレースと止めるべきだったのではないかとの批判の声も上がってきている。

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イギリスの新聞各紙は、FIA(F1統括団体である国際自動車連盟)とF1最高責任者であるバーニー・エクレストンは、ビアンキの事故に関して緊急に調査するよう指示を出したと報じているが、エクレストンも『Times(タイムズ)』に対し、「こういう事故が起こってしまったし、我々はその原因を突き止めなくてはならない」と認めている。

■レース続行に無理があった?

だが、かつて4度F1チャンピオンに輝いた伝説的元F1ドライバーであるアラン・プロストは、『Europe 1 radio(ヨーロッパ1ラジオ)』に対し、台風18号の影響を受け、周囲が暗くなり始め、雨も強くなり始めていたレースを続行させたことは明らかに「重大な判断ミスだ」と語っている。

「ミスがあったことは間違いないよ」と語ったプロストは、次のように続けた。

「誰のミスかって? それについてはまだ疑念を抱いているところだ」

「レースの運営を管理していた者なのか、あるいはあのコーナーにいたオフィシャルかもしれない」

しかし、これとは違う見方をする者もいる。前FIA会長のマックス・モズレーは、日本GPで日曜日に起こったことは「不慮の事故」であったとし、イギリスの『Sky(スカイ)』に次のように述べた。

「マーシャルやレース管理者を始め、レースにかかわっていた人たちを責めることはできないよ」

「何らかの理由により、ドライバーが黄旗を見なかった。彼(ビアンキ)はもっとスピードを落としていなければならなかったはずだが、それが十分ではなかったように見える。だが、あのとき黄旗が振られていたのは間違いないんだ」

レッドブルのモータースポーツアドバイザーであるヘルムート・マルコも、6日(月)に『Servus TV(セアヴスTV)』に対し、あれはただ悲劇的な事故が起きたということでしかないと語り、あのクラッシュが起きた時点では「運転することが不可能だったというような特段の理由は見当たらない」と述べている。

■ビアンキが黄旗を見落としていた可能性も?

ウィリアムズのバルテリ・ボッタスも『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』に対し、自分のコックピットからは「旗も見えていたし、(イエローの)ライトが点滅しているのも見えていた」と語り、徐々に暗くなってきていたことがその事故原因のひとつだったのではないかとの疑問に関して否定的な見解を示している。

鈴鹿で競技委員を務めていた元F1ドライバーのミカ・サロは、ビアンキが黄旗が振られていた区間でかなりスピードを上げたまま走っていたようだとほのめかし、母国フィンランドのテレビ局『MTV3』に次のように語った。

「ああした状況でクルマのコントロールを失うようなはずはないんだ。僕はすべてを見ていたが、(ビアンキのクルマには)あまりにも勢いがあり過ぎたよ」

サロはさらに、エイドリアン・スーティル(ザウバー)のクルマがあそこでクラッシュを起こした際に、その時点ですぐにセーフティカーを出動させなかったFIAのF1競技委員長チャーリー・ホワイティングの判断を支持し、次のように続けた。

「あの判断は正しかったよ。あのコーナーでは単独事故が起きていただけだし、ドライバー(スーティル)も救護が必要な状態ではなかった。だからセーフティカーを出すような必要はなかったんだ」

「あれは標準的な判断だった」

■レースを中断すべきほどの雨ではなかった

また、サロは、また雨が強く降り始めた時点でレースをストップしてしまうべきだったのではないかとの意見に対しても、あの時点ではまだそれほどの状態ではなかったと次のように反論している。

「何人かのドライバーはあそこでまた水量が多いときようの雨用タイヤに交換していた。だが、何人かはまだすり減った状態のインターミディエイト(水量が少ないときに使う雨用タイヤ)を履いたままだったよ」

レッドブルのマルコも、あの事故は「非常に不運な状況が連続したことによるものだ」と次のように語った。

「セーフティカー先導によりレースが開始されてからは、通常のウエットレースだったよ」

「あの事故が起きたとき、セバスチャン(ベッテル/レッドブル)は(水量が多いとき用の)ウエットタイヤへの交換を要請しなかった。だから、当然レースは最後まで続けられると判断していたんだ」

■過剰反応はよくないとの声も

元F1ドライバーであり、よくF1競技委員を務めることでも知られるデレク・ワーウィックは、『Guardian(ガーディアン)』に次のように述べている。

「あまり騒ぎ過ぎないようにしよう。あれは偶発的な事故だったんだ」

「こういうめったにないことも起こるものだが、我々はそれに対して過剰に反応することがないように気を付けなくてはならない」

ワーウィックは、あまりにもこれに過剰に反応し過ぎれば、事故車を撤去するために作業車が導入されたときには必ずセーフティカーを導入しなくてはならないというようなルールに変更される可能性もあると示唆し、次のように続けた。

「だが、私はチャーリー(ホワイティング)や彼のチームに判断させるほうがいいと思っている。彼が常に最善の決断を下すかって? そうではないかもしれない。だが、私はああいうときには常に専門家たちに判断を委ねることに賛成だね」

だが、ビアンキの事故後興奮冷めやらぬF1関係者の中には、こうした冷静な受け止め方をする者と、かなり感情的に受け止めている者とがくっきりと分かれているようだ。

■レースを中止していれば事故は防げたはずとの意見

ブラジルの『Globo(グローボ)』のベテラン解説者であるガルバオ・ブエノは、今回の鈴鹿で起こった事故に関して「F1を40年見てきた中で最大のミスだ」と語っている。

ブエノは次のように続けた。

「チャーリー・ホワイティングとは個人的にも非常に仲がいい。だが、だからといって自分の意見を言うことを私は恐れたりはしない」

「このレースは、続行すべきようなコンディションではなかった。私はフェリペ・マッサ(ウィリアムズ)と話をしたが、彼はまったく何も見えなかったと言っていた。テレビで薄暗く見えるような状況のときは、実際にはものすごく暗いんだ」

「これ(ビアンキの事故)は避けられたはずだった」とブエノは付け加えた。

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