F1第11戦ハンガリーGPでのチームオーダーをめぐって、メルセデスAMGは難しい状況に陥っている。
■【画像】暑い夏、熱いバトルで魅せてくれたF1ハンガリーGP、ハミルトンの表情は・・・
ハンガリーGP中盤、ルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)は後ろから迫っていたチームメートのニコ・ロズベルグを前に出すよう無線で指示を受けたが、これを拒んだ。
2人のタイヤ戦略は異なり、ハミルトンはもうタイヤ交換が必要なかったのに対し、ロズベルグはもう1度ピットインする必要があったために出たチームオーダーだった。
結局ロズベルグはハミルトンを抜けないままピットインし、終盤ハミルトンの後方まで追い上げたものの、そのままハミルトンが3位、ロズベルグが4位でフィニッシュ。優勝はレッドブルのダニエル・リカルドで、2位はフェラーリのフェルナンド・アロンソだった。
メルセデスAMGビジネス部門のエグゼクティブディレクターであるトト・ヴォルフは、ハミルトンが指示に従ってロズベルグを前に出していたら、「ニコはこのレースで優勝できたかもしれない」と話している。
「今は難しい状況だよ」とヴォルフも認める。
■ハミルトン「ものすごくショックだった」
ハミルトンがチームオーダーに従わなかったためにメルセデスAMGは優勝をライバルチームに明け渡してしまったのかもしれない。
ハミルトンも、チームオーダーには「正しい理由」があったのだろうと認めている。
しかし、チャンピオン争いをリードするロズベルグを追う立場のハミルトンは、ロズベルグを抑えたことでポイント差を縮めることができた。
「彼と同じレースをやっていたんだ」とハミルトン。「だから、チームがああいうことを僕に求めるなんて、ものすごくショックだった。彼が順位を上げられるようにしろだなんて」
「あれはちょっと変だよ」
■チームオーダー無視は正しかったとラウダ
メルセデスAMGの非常勤会長で、3度のF1チャンピオンであるニキ・ラウダは、ハミルトンがチームオーダーを無視したのは正しかったと話している。
「私だったら、まったく同じことをしただろう」
「チームは、レースが非常に難しいものになったために、途方もないストレスを抱えていた。疑問の余地はない。不必要だったのに、あの決断が下されたんだ」
これからF1は3週間の「夏休み」に入り、ファクトリーも2週間は閉鎖される。ヴォルフは、この期間を活用して、激しさを増すチームメート同士のバトルをうまく取り仕切る術を考え出さなければならないと話している。
「シーズン開始時のやり方は、もう機能しない」
「新たな方法が必要なのかもしれない。緊張感が高まっているから、うまく対処する方法を一緒にじっくり話し合う必要がある」