先週末のF1第10戦ドイツGPに続き2戦連続でマシンにトラブルが発生、予選上位の望みを絶たれたルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)。技術陣を率いるパディ・ロウは責任重大だ。26日(土)遅くには、チーム会長のニキ・ラウダから大きな圧力がかかった。
ホッケンハイムではブレンボのブレーキが破損、ハミルトンをコース外に設置されたバリアへと追いやった。そしてそのわずか7日後、ハンガロリンクでは燃料漏れから車両火災に発展、彼が抱いていたポールポジション奪取の希望は煙となって消えた。
「これは運が悪いだけでは済まない」と、ハミルトン。「他に何かあるね」
ご存知のとおり、こんな時のハミルトンは神経質だ。パドックに戻るや報道陣に囲まれた2008年のF1世界王者が信じられないといった表情を浮かべたのも無理はない。
すぐにレーシングスーツを脱ぎ、定例の技術ミーティングが始まる前にサーキットを後にしてしまった。
「帰りたいとのことだった。許可を求められたから”帰っていい”と答えたよ」とは、総代表トト・ヴォルフの弁だ。
チーム広報の話では、ハミルトンは27日(日)午前に担当エンジニアと顔を合わせ、本番に備えるとのことだった。
ヴォルフはいう。「フリー走行3回めでブリーフィングを行った後、予選はすぐに終わってしまった。このことについてはエンジニアたちから彼(ハミルトン)に説明があるだろう。おそらくまた話し合いになるはずだ」
ドイツ『Sky(スカイ)』のテレビ実況で解説を行う元F1ドライバーのマルク・スレールは、ハミルトンを帰したチームの判断は正しいと次のように語った。
「どんなドライバーでも、あんなことが起きたら頭に血が上ってどうしようもない。パドックに戻ったら戻ったで報道陣に引き止められてバカな質問に答えなければならないし、もう最悪だよ」
「彼がエンジニアたちに伝えられることは何もない。だって、走りだして1周めに火が出たのだから」と、スレール。
この出来ごとで煮え湯を飲むのはパディ・ロウだとラウダはいう。走れば無敵のメルセデスAMGも、何かあればマシンのパッケージを総合的に見直すのは彼の仕事だからだ。
「メルセデスAMG、とりわけパディ・ロウがしっかりと原因を究明し、すべてを理解するから彼らに任せてほしい」と、ラウダはドイツ『IRTL』に話していた。