2014年F1シーズンを断トツでリードするメルセデスAMGと4年連続F1世界チャンピオンチームのレッドブルが、冷戦状態だ。
レッドブル所有のサーキットで、レッドブルが主催した先週末のF1第8戦オーストリアGP。これに優勝したメルセデスAMGは広告を出す。見出しはこうだ。「シルバーアロー(メルセデスの愛称)、翼を授ける」
それどころかレース後、メルセデスAMGのスタッフはサーキットの中心に建てられた巨大なレッドブルのシンボルによじ登って、メルセデス・ベンツの三本矢を模した銀色の首輪を像にかけていたのだ。
勝てば何をしても楽しいのだろうが、あまり愉快とはいえない出来ごとが伏線としてあった。オーストリアGPに先がけてサーキット近くに宿をとったメルセデスAMGがどたん場で予約を取り消されたこと、開幕戦オーストラリアGPで燃料規定違反からダニエル・リカルド(レッドブル)が受けた失格処分に乗じて、レッドブルを3戦出場禁止にするようメルセデスAMGがFIA(国際自動車連盟)に要請したことだ。
こうした両チームの悪感情が影響したか、レッドブルのアドバイザーであるヘルムート・マルコ博士と、メルセデスAMG会長トト・ヴォルフの関係が険悪だ。
ヴォルフは彼の母国オーストリアの週刊誌『NEWS』に、両者は口もきかない関係だと次のように明かす。
「いや、私たちのあいだに(会話は)ない」と、ヴォルフ。「彼の仕事がら、私の連絡先に彼は入っていない。何も無理して話し合うことはないだろう」
さすがに、互いに「忌み嫌っている」と認めるのは避けたヴォルフ。
「”嫌悪”といったら感情的になりすぎかな」と、ヴォルフはいう。「われわれはコース上で競争相手だ。それが互いの仕事であり、われわれにとっては勝ち得る最高の成功を手にすることが重要なんだ」
「レッドブルをチームとして尊敬している」「でも、まずい酒で人生をムダにしたくはないね」と、ヴォルフはいう。ずいぶん意味深な比ゆではないか。