昨年、最年少で4年連続F1タイトルを獲得するという偉業を成し遂げたセバスチャン・ベッテル(レッドブル)だが、今シーズン前半は大きく出遅れてしまっている。
マーク・ウェバーに変わって今季ジュニアチームのトロロッソから昇格してきたダニエル・リカルドのほうが予選・決勝ともに安定した成績を残す一方、なぜかベッテルのクルマのほうにばかりトラブルが起こるという傾向も見られる。こうした状況に、さすがのベッテルもいら立ちを隠せず、エンジンや、今季から導入された新ルールに対する批判的な発言も多くなっている。
こうした中、ベッテルはすでにレッドブルからのサポートを失い始めているのではないかとのうわさもささやかれ始めている。
■ベッテルに逆風、リカルドに追い風
遠慮のない発言をすることで知られている1997年のF1チャンピオン、ジャック・ビルヌーブは今週、「レッドブルはかつてのマーク・ウェバーと同じように彼(ベッテル)を扱っている」ように思えるとし、「今では彼ら(レッドブル)は、セバスチャンを葬ってしまいたいと思っているよ。なぜなら今の彼はレッドブルのイメージにとってよくないからね」とまで語っている。
また、かつて3度F1タイトルに輝いた伝説的な元F1ドライバーであり、現在はメルセデスAMGの非常勤会長を務めるニキ・ラウダも、今季F1界を驚かせる活躍を見せたことにより、レッドブルにとってリカルドが非常に大きな存在となっているのは間違いないと次のように語った。
「彼(リカルド)は大きな才能を持っているし、非常に短い期間でトップレベルにまで到達してみせた」
「彼は将来のF1チャンピオンとしての資質をすべて備えているよ」
■ベッテルは単に運が悪いだけとホーナー
風向きはすべてリカルドのほうへ傾き、今やその存在感が薄れてきつつあるのは間違いないベッテルだが、レッドブルのチーム代表であるクリスチャン・ホーナーは、ベッテルが苦戦しているのは基本的に「運に恵まれていない」だけであり、これから立ち直りを見せるだろうと語った。
「セバスチャンは、今年信じられないほど多くの悪運に襲われている」、と『Servus TV(セアヴスTV)』に語るホーナー。
ホーナーに言わせれば、ベッテルが苦戦しているのは、単にクルマがうまく機能していないだけであり、そうした状況においてもベッテルは「非常にうまく」対処しているのだという。
「ほかの多くのドライバーたちであれば、頭をうなだれ、やる気も失ってしまうところだ。だが、彼は違うよ。彼はさらに懸命に頑張っているし、チームに対しても一層の働きかけをしている」
そう語ったホーナーは、次のように付け加えた。
「この流れさえ変われば、結果もおのずと付いてくるよ」