今季ここまで6戦6勝と順風満帆に見えるメルセデスAMGだが、F1モナコGP(第6戦)においてチームメート同士が「一触即発」の状況を迎えたことで、今後チーム内に「爆弾」を抱えることになってしまったようだ。
先週末のモナコGPでは、予選でニコ・ロズベルグ(メルセデスAMG)が故意にミスを犯して、チームメートのルイス・ハミルトンの走行を妨害したのではないかとの「疑惑」が取りざたされたが、これをきっかけとしてハミルトンが感情的な反応を示し、ロズベルグに対して挑発的な発言をするなど、メルセデスAMGのドライバーたちが「心理戦争」に突入したことが誰の目にも明らかとなっている。
だが、モナコでは、予選以外にもさまざまな「心理戦」が繰り広げられていた。
ハミルトンは、彼の宿舎の外でロズベルグと彼のトレーナーがサッカーボールをけりながら騒がしくしていたことに対して文句をつけるなど、明らかに不機嫌な状態となっていたことを示していた。
そして、ハミルトンは、レース後にメルセデスAMGが勝利を祝って行った記念撮影にも参加することを拒んでいたという。だが、ハミルトンはそうすることは彼を待っているディーター・ツェッチェ(メルセデスの親会社ダイムラーの会長)に対して失礼になると告げられて渋々とその場に姿を現したという。
また、『Sport Bild(シュポルト・ビルト)』のビアンカ・ガーロフ記者は、ハミルトンが予選後に行われたチームの会議に参加しなかったことに触れ、「恐らく彼はトイレにいたのでしょう」との冗談を添えている。
そのハミルトンは、木曜日(22日)に行われたフリー走行前のミーティングにも欠席していた。これについてハミルトンは「寝坊した」と記者たちに語っていた。
ロズベルグとて褒められたものではない。伝えられるところによれば、ロズベルグは間近に迫った自分の結婚式にハミルトンを招待していないという。さらに、スペインGP(第5戦)後には、ハミルトンがチームから禁止されていたエンジンのセッティングを行って勝利を収めていたことが明らかとなったとき、猛烈な怒りを示していた。
これに関し、メルセデスAMGのビジネス担当エグゼクティブディレクターであるトト・ヴォルフは、次のように語った。
「バルセロナ(スペインGP)の日曜日にはどちらもちょっと感情的になっていた。ニコはそのことを不当だと感じていたし、それは理解できることだ」
ハミルトンとロズベルグには、これまでにも、そして今後も、仮に2人の戦いがスピンして制御不能となるようなことがあれば、メルセデスAMGとしては「チームオーダー」を出さざるを得なくなるという話がされているはずだ。
最も起こってはならないことが、2人がお互いにクラッシュしてしまうことだ。
「そういうことを起こした方には、メルセデスAMGの首脳陣から何らかの処分が行われることになるだろう」
ドイツの『Bild(ビルト)』紙にそう語ったメルセデスAMGの非常勤会長ニキ・ラウダは、次のように続けた。
「制御不能にならないよう、注意していないとね」