F1が今年から導入したV6ターボによるパワーユニットや、それに関するレギュレーションについてはさまざまな意見がメディアをにぎわせている。
新しいF1に関する批判の中で、一番大きな声が上がったと言っていいのが、その小さくなったエンジン音だろう。先週バルセロナで行われたF1公式テストにおいて、メルセデスAMGがトランペットのような形状のアタッチメントをF1カーの排気管に取り付け、エンジン音を人為的に増幅するためのテスト走行を行った。だが、その成果については否定的な意見が圧倒的だった。
F1エンジンがハイブリッド方式を取り入れ、より効率性の高い現代的かつ洗練されたものとなったことで音も小さくなったのであり、その音をわざわざ増幅させるようなことをしても意味がないという意見もある。その一方で、F1オーストラリアGPの主催者であるロン・ウォーカーのように、エンターテインメントの観点から、F1はかつてのように魅力的で攻撃的な音をめざしていくべきだと主張する者もいるなど、関係者の間にもさまざまな意見がある。
かつて4度F1チャンピオンに輝いた元F1ドライバーのアラン・プロストは、現在F1からそういうさまざまなメッセージが発せられていることが、このスポーツにとって、より大きな問題となるだろうとしている。
プロストは、今年の9月からスタートすることになっている「フォーミュラE」とかかわりを持っている。フォーミュラEで用いられるフル電動フォーミュラカーは、ほとんど無音だと言ってもいい。
そのプロストは、F1がより現代的なハイブリッド方式を採用したことは「素晴らしい」と考えている。だが、そのF1内部からさまざまに異なるメッセージが伝えられることで、そのいいニュースを打ち消してしまうことになっていると主張し、次のように語った。
「現在のF1カーは、以前と同じパワーを持ちながら、使用する燃料は30パーセントから40パーセントも少なくなっている。これは非常に素晴らしいことなんだ」
「だが、ファンはそのことをあまり気にしていないかもしれない。だから少しばかり混乱が発生し、若い人たちがF1を見なくなったり、興味を失ったりしているんだ」
そう語ったプロストは、次のように付け加えた。
「フォーミュラEに関しては、さらに興味深いものだ。そして、我々は主催者とともに全員がひとつの船に乗っているよ」