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可夢偉の追い抜きを幻に変えた「チェッカーフラッグ」の真相は?

2014年04月24日(木)14:46 pm

先週末開催された今季のF1第4戦中国GPでは、56周で行われるはずだった決勝において、先頭のルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)が本来であれば最終ラップである56周目に向かおうとしたところ、すなわち55周を消化した時点で誤ってチェッカーフラッグが振られてしまった。

F1の競技ルール第43.2項には、いかなる理由であろうとも、チェッカーフラッグが早く振られてしまった場合には、「そのときチェッカーを受けたドライバーが、その前に最後にフィニッシュラインを横切っていた時点でレースが終了する」ものと記されている。これにより、本来56周で争われるべきだった中国GP決勝は、公式には54周で終了したと記録されている。

このため、本来の最終ラップにおいて前を行くジュール・ビアンキ(マルシャ)のクルマを追い抜いた小林可夢偉(ケータハム)だったが、実際にはその前にレースが終わっていたとの判断により、その追い抜きは幻と消えてしまっていた。

この、普通であれば考えられないミスの原因について、ドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』は次のように説明している。

決勝レースがあと残り2周となったとき、中国GPのローカル・レースディレクターのチュアン・タオが、F1競技委員長であるチャーリー・ホワイティングに対し、これからファイナルラップを迎えるという意味の「白旗」を振るべきかどうか尋ねたという。アメリカのNASCARやインディカーなどでは、最終ラップを迎えるときに「白旗」が振られることになっているが、F1ではこれは行われていない。

このとき、ホワイティングから指示を受けたディレクターのチュアンは、チェッカーフラッグを担当することになっていたオフィシャルに無線を通じて、英語で「No flag now(まだ旗は振るな)」と伝えたという。

ところが、その連絡を受けたオフィシャルは、その無線の声がよく聞き取れなかったのか、あるいは何か勘違いをしたのか、頭の「No」が抜け落ち、「Flag now(今旗を振れ)」と指示を受けたと解釈し、それを実行に移していたというのが事の真相のようだ。

それにしても、中国のレース運営を担当する者たちに、F1における「旗」の使い方や、F1統括団体であるFIA(国際自動車連盟)が主管するレースと、アメリカなどで行われるレースでは「旗」の色や使い方の意味が違ってくるという基本的な知識を持っていなかったことが露見したのは事実であり、なんともおそまつな事態だったことは間違いない。

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