今季のF1第2戦マレーシアGPの予選(29日)終了後、レッドブルとメルセデスAMGの間に険悪な雰囲気が漂った。
レッドブルのモータースポーツ責任者であるヘルムート・マルコは、ドイツのテレビ局『Sky(スカイ)』に次のようなコメントを行った。
「ロズベルグ(ニコ・ロズベルグ/メルセデスAMG)は、自分のミラーを見るのを忘れていたようだ」
マルコは、雨となったマレーシアGP予選Q3で、セバスチャン・ベッテル(レッドブル)が最終的にポールポジションをとったルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)のタイムに迫るためにアタックラップに向かおうとしていた際、ロズベルグがベッテルを「妨害」したと主張したのだ。
結局、ベッテルはわずか100分の5秒差でハミルトンに届かず、ポール獲得を逃すことになった。
だが、このマルコのコメントに対し、メルセデスAMGの非常勤会長を務めるニキ・ラウダが反論を行った。ラウダは、雨による水煙が立ち込める中で、数秒後ろから走ってくるクルマを識別することは難しいことであり、「高速道路を走っているときのようなわけにはいかない」と主張し、「オーストリアでさえ、いろんなところで渋滞はあると思うよ」と付け加えた。
ラウダに言わせれば、「そういうことは起こってしまうものなんだ」。
予選後の記者会見で、ロズベルグのとなりに座ったベッテルは次のように語った。
「ニコ(ロズベルグ)はよくミラーが見えなかったんだと思う」
「もちろんあのときはカッとなったよ。2秒か3秒分くらいの差はあったにしろ、次のコーナーはまったく先が見えないところだったからね」
だが、ロズベルグは自分には非はないと断言した。
「それは僕じゃなかったと思うよ。誰も僕の後ろにはいなかったからね」
その少し後、ポールポジションを獲得したハミルトンは記者たちと予選に関する質疑応答を行っていたが、ハミルトンは見るからに不機嫌になっていった。というのも、その脇でチームメートのロズベルグとベッテルがずっと妨害しただのしなかったのだとやりあっていたからだ。
いら立ったハミルトンは、「おい、君たち。僕は自分の声さえ聞き取れないよ」と声をあげた。
後に、ドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』は、ロズベルグが行った次のような説明を掲載している。
「セバスチャンは僕の2秒半ほど後ろにいたんだけれど、僕は水煙の中にいる彼がまったく見えなかった」
「それに、僕はかなり前にいたから、彼を妨害することなんかできなかったよ」
それでも、レッドブルのチームマネジャーであるジョナサン・ウィートレイが、この件に関してレース競技委員会に訴えを起こしていたことが明らかとなった。競技委員会はすぐにその申し立てを却下したという。
ラウダは首を横に振りながら、次のように付け加えた。
「マルコはこんなことで不機嫌になるのはやめて、ベッテルがメルセデスAMGとならんで最前列からのスタートを確保できたことのほうをよろこべばいいのに」