F1最高権威者バーニー・エクレストンが、アメリカのチームが2015年からF1に加わることは「ほとんど考えられない」と語ったものの、ジーン・ハースは、F1への参戦を目指し続けると宣言した。
富豪としても知られ、NASCARチームの共同オーナーでもあり、世界有数と言われる風洞設備を有するとともに、それに関連のあるビジネスを展開しているハース。しかしエクレストンは最近、ハースがF1に必要な資金を投じる覚悟があるか分からないと発言していた。
エクレストンは、F1ビジネスの記者であるキャロライン・リードに対し、「銀行に100億ドル(約1兆円)もの預金ができる者もいるだろう。だからといって、それを使うつもりがあるかどうかは分からない」と語った。
だが、ハースはFIA(国際自動車連盟)が2015年からF1に参戦するチームの募集を行ったことを受け、すでに5,000ドル(約51万5,000円)の申請料を払い込んだことを27日(月)に明らかにした。
ハースは、『AP通信』に対し、「エクレストン氏は、私がそうするための十分な資金を持っていないと考えているようだ」と語るとともに、エクレストンがハースの参戦に対し否定的なコメントを行ったことに関し、エクレストンがこれまでも「ずけずけと物を言う」人間だったと認めている。
「彼は、我々がライセンスを得ることができるとは考えていないようだ。だから、私のチャンスはそれほど大きくないかもしれないね」と付け加えたハースは、これまでにも数回エクレストンとの話し合いを持ったことも明らかにしている。
ハースは、自らが運営する産業機械メーカーであるハース・オートメーション社の利益を、これまでの2倍となる1年につき20億ドル(約2,000億円)にまでもってゆくと宣言しており、もしレースに情熱を持ち、F1に資金を投入できる人物がいるとすれば、それはこのハースだろうと考えている者も多い。
それなのに、なぜエクレストンはハースの参入に対して悲観的なのだろうか?
ハースは『USA Today(USAトゥデイ)』に対し、「それには少しばかり失望させられたよ」と語り、次のように続けた。
「私はあの人を尊敬しているよ。非常に難しいスポーツだし、世界のレースの中でも最高峰に位置するものだ。彼らは、参戦するチームに10年間はとどまって戦って欲しいと望んでいるようだ」
「もしエクレストン氏が、我々にはライセンスを取得するチャンスがないと言うのであれば、これ以上続けるのはバカげたことだろう。私には彼が何を言おうとしているのかがよく分からないんだ。多分、非常に難しいスポーツなんだろうね」
「我々は、自分たちの情報を提出している。ひょっとしたら、我々は彼らが望むものを持っていないのかもしれない」
「私は、白か黒かの問題だとは思っていないんだ。問題はそのプロセスだよ。それには敬意を払うべきなんだ。このまま進めても何もうまくいかないように見える」
エクレストンが否定的なコメントを行ったのは、現在のトップチームたちが巨額の年間予算を必要としているのに対し、ハースが自分のやり方でやると宣言した結果かもしれない。
「大きなチームでは2億ドルから3億ドル(約200から300億円)を費やしているが、ひとつの部品に10人ものエンジニアがかかわっている。我々はそんなやり方をしたいとは思わない。私の考えが甘いのかもしれないがね」
「私はただ、我々アメリカ人には、複雑な機械を手にしたとき、複雑なことをしないでそれらを早く造る方法を見つける能力があると思っているだけだ。私が間違っているかもしれないよ。だが、私には確信があるんだ」
「誰もが、私は気でもふれたのではないかと言ったよ。だが、ショックだったのはエクレストン氏が、私たちは自分が何をやっているのか分かっていないんだろうと言ったことだ。それはこたえたよ」
ハースはさらに、『Charlotte Observer(シャーロット・オブザーバー)』に対し、次のように述べた。
「やってみるまでは分からない。やらなければ、失敗することもないからね」