28日(金)のイギリスGP初日、雨のなかシルバーストンに詰めかけた多くの観客は待ちぼうけを食らっていた。フリー走行中なのに、ちっともマシンが走らないのだ。これは「一大事」だと、F1最高権威バーニー・エクレストンがF1の規則に怒っている。
雨が降った場合、チームはレインタイヤを温存しようとする。天気が良くなることを願って、新たに設計したボディーパーツもとっておきたい。従ってドライバーも90分間のほとんどをガレージ内で過ごすことになる。
その間、サーキットから2時間離れたグッドウッドではFIA(国際自動車連盟)の世界モータースポーツ評議会が開かれていた。金曜日のフリー走行で、ドライバー1人あたり、もう1セットのドライタイヤを割り当てる新ルールが投票にかけられたのだ。
ところがあいにく、金曜日のシルバーストンにいる観客にとっては、もう1セットのドライタイヤなど何の意味もない。
「F1にとって、由々(ゆゆ)しい問題だ」とイギリスの報道陣に話すエクレストン。
「こうした事態が万が一にも起きないよう、規則を変える必要がある。FIAもチーム側も何とかしてもらいたい」
「観客は大金を払って見に来ているのだ。テレビの視聴者のことも考えてほしいね」
「金曜日にタイヤを6セットずつ与えてはどうだろうか? もし走らなかったら、その分を土曜日の総数からさっぴけば済む話だろう」