メルセデスへ移籍したウィリアムズの元取締役だったトト・ヴォルフが、今後はメルセデスAMGの本部があるイギリスのブラックリーを拠点として業務にあたることを明らかにした。
実質的に、長年メルセデスのモータースポーツ責任者であったノルベルト・ハウグの後任としてメルセデスに迎え入れられたヴォルフは、新たにメルセデスAMGの株主となるとともに、正式には専務取締役の肩書を持つこととなる。
ヴォルフは、地元オーストリアの放送局『ORF』のインタビューに次のように答えている。
「非常に重責だ。ハウグは多くのことを非常に立派に成し遂げた」
「昨年は期待どおりに物事が進まなかったが、どうしてそうなったのか答えをみつけなくてはならない」
「だが、ノルベルト(ハウグ)自身がクルマの開発に携わっていたわけではない」
「ともかく、現場に出ることが重要だと思っている。イギリスでいい仕事ができることを願っている」
メルセデスAMGの非常勤会長であるニキ・ラウダも今週ブラックリーに顔を見せることになっているが、ラウダは常にイギリスを拠点とするわけではないようだ。
これについてヴォルフは「現場にはイギリス人気質を理解している者がいることが重要だからね」と説明している。
まだウィリアムズの株主でもあり、メルセデスのDTM(ドイツ・ツーリングカー選手権)参戦プログラムを担当するHWA社の共同オーナーでもあるヴォルフは、今回の転籍にあたって、メルセデスAMGの株式の30パーセントを取得している。
「(株式購入にいくら支払ったかを)本当は言いたいけれど、でも機密保持契約にサインしてしまったんだ」と答えたヴォルフは、さらに次のように続けた。
「ニキ(ラウダ)と私は共同経営者だから、ある程度のリスクを抱えることになる。それがメルセデスにとっては重要なことだったんだ。われわれには大きな責任があるし、メルセデスと共同で会社を所有することを誇りに思っているよ。そんなことを言える人間はそれほどいないだろう」
「私はビジネスを指揮する責任があるから、ブラックリーにいることになる。ニキは(メルセデスの)F1チームとエンジン製造会社の総責任者だ」
「ラウダは経営指揮的役割を担うことはないが、彼は貴重な人脈やノウハウをもって大きな貢献をしてくれる」
一方、今回のメルセデスの体制変更に伴い、メルセデスAMGのチーム代表の職を追われるのではないかとうわさされているロス・ブラウンについて、ヴォルフは次のように付け加えている。
「ロス・ブラウンは、技術的な面での責任者だ」