笹原右京（16歳）「3年以内のF1テストが目標」
レーシングカートの世界大会で優勝し、ジュニアクラスの世界チャンピオンにもなっている笹原右京が、F1参戦への第一歩であるF1ルーキーテストへ3年以内に参加したいと将来の展望を語った。
笹原は2011年にROTAX世界大会で優勝し、ジュニアの世界チャンピオンになった現在16歳のドライバー。今年は単身オーストリアへ渡り、ROTAX MAX Central Eastern Europeanでチャンピオンになった。そして来年は、カートを卒業し、フォーミュラレースへのデビューを目指している。
11月中旬、そして12月上旬にフォーミュラカーのテストへ参加し、帰国したばかりの笹原は、22日（土）に新東京サーキットで行われたグッドスマイルレーシングのカートグランプリにゲストドライバーとして出場。走行の合間をぬってTopNewsのインタビューに応えてくれた。
今年は新興シャシー「DR」の開発ドライバーも担当した笹原。インターナショナルスクールに通っていることもあり、チームとの英語でのコミュニケーションにも不自由はなく、開発ドライバーとして走ったことで、自分の感じたことをチームへ伝える能力が成長したと今年1年を振り返った。
笹原は今年をカート卒業の年と考えており、来年のフォーミュラレースデビュー、その先にあるF1を目指している。だが、ただやみくもにF1を目指しているのではなく、F1までの道も笹原は明確に示してくれた。
「2013年は（入門カテゴリーの）フォーミュラ・ルノー2.0アルプスシリーズへの参戦を目指しています」
「フォーミュラ・ルノー2.0でチャンピオンになると、3.5（フォーミュラ・ルノー最高峰シリーズでF1直下のカテゴリー）へのスカラシップがあります。近年は、フォーミュラ・ルノー2.0からステップアップし、3.5でいい成績を残した選手はシーズンオフにF1ルーキーテストに参加し、そこで速かった選手はF1という道が明確になっていると思います。それを目指して頑張ります」
いつまでにF1テストへ参加することを目標にしているか質問したところ、笹原は「3年以内です」と具体的な目標を力強く答えてくれた。
12月上旬にはF1スペインGPでもおなじみの難コース、カタルーニャ・サーキットでのテストに声が掛かり参加した。チームは実力あるユーロ・ノバで、ドライブしたのは来季の目標としているフォーミュラ・ルノー2.0と同クラスのフォーミュラ・アバルトだ。
今回のチームメートは2012年に同チームからシリーズへ参戦しており経験も豊富だが、笹原は初めてのコース、初めてのチームにも関わらず、早々とチームメートを上回るタイムを記録し、さらには総合でもトップタイムをたたき出すなど、チーム関係者を驚かせた。優勝経験もあるチーム側からの評価は非常に高く、来年にもフォーミュラ・ルノー2.0で勝てると太鼓判を押され、笹原自身も手応えを得て自信も深まったという。
しかし、多くのレーシングドライバーが直面する活動資金という壁に笹原も直面している。入門カテゴリーとはいえ、安全性と性能をF1に近づけたマシンで、フォーミュラでの経験値と運転技術を高めるための練習走行も含めた年間活動予算は最低でも4000万円は必要だという。入門カテゴリーとしては決して安くはないが、F1直下のフォーミュラ・ルノー3.5へスカラシップもあり、F1関係者も常に注目しているカテゴリーと考えれば、夢は具体的な目標へと変わる。関係者の目に留まればF1への道は拓（ひら）ける。2013年にワンステップ進み、再来年にもうワンステップ進めば、次はF1だ。
豊富な資金力を持つライバル勢は、既に来季へ向けてテスト走行を繰り返しており、F1へのチャンスを何が何でも手に入れようと積極的に活動している。笹原はカートでもジュニア世界一に2度輝き、シニアクラス1年目の今年もチャンピオンになり、フォーミュラでもいきなりトップタイムを記録するなど、世界中のライバルや関係者が注目する逸材だ。
そんな笹原は、自身も夢を真っすぐ追いかけている真っただ中だが、すでに自分より年代が下の子にもカートの指導をしているという。自分が道を切り拓（ひら）く姿を見せてあげることで、夢を繋（つな）いでいきたい、と笑顔で力強く語る目は真剣だが、ご両親や支援者、協力者への感謝の気持ちと、謙虚な姿勢は忘れない。
今後は、これまでのカートレースとは規模の違う資金が必要になるため、活動を支援してくれるスポンサーを探しつつ、フォーミュラデビューの道を模索していく。
