来シーズンからザウバーへ移籍するニコ・ヒュルケンベルグ(フォース・インディア)は、経験の浅いドライバーコンビで2013年シーズンを戦うことになるが、チームの勢いを妨げる心配はないと強調した。
今シーズンF1に復帰したヒュルケンベルグは、メキシコ人のルーキードライバー、エステバン・グティエレスと来季コンビを組むことになっている。
レース数で見ると、25歳のヒュルケンベルグと21歳のグティエレス両ドライバーの合計は、今季ザウバーでドライバーを務めた小林可夢偉とセルジオ・ペレスの2人より60戦も少ない計算になる。
しかし、2010年にウィリアムズからF1デビューを果たしたものの、翌年はシートを失い、2012年にフォース・インディアでF1復帰したヒュルケンベルグは、ザウバーの本拠地で『Blick(ブリック)』から経験不足についてたずねられると次のように語った。
「そんなことはない。僕には経験がある」
「確かに、僕にとって初めてのクルマになるけど、(シーズンが変われば)ほかのチームも新しいクルマになるわけだし、慣れなくちゃいけないのはみんな一緒のことさ」
「だから、とりわけ不利になるとは思わない」
まだF1で2シーズンしか経験のないヒュルケンベルグは、移籍先のザウバーで事実上2013年の「チームリーダー」の役割を担うことになるが、本人はあまり意識していないようだ。
「僕には違いがわからない。グティエレスよりF1での経験があるのは事実だけど、自分の役割がフォース・インディアにいたときと変わるとは思わない」
「結局、僕は可能な限りより多くのポイントを目指すだけだよ。チームリーダーか否かはあまり関係ないんだ」
また、フォース・インディアにおけるヒュルケンベルグの後任ドライバー候補にエイドリアン・スーティルやジュール・ビアンキの名が挙げられているが、ヒュルケンベルグは誰に決まるのか「まったくわからない」ようだ。
「スーティルだと思ってたけど、あまりにも時間がかかりすぎているから、ほかのドライバーに決まるのかもしれない。でも、僕は何も聞いていないんだ。今、ザウバーのことだけに集中しているからね」と加えた。
今回のヒュルケンベルグの移籍は、フォース・インディアからザウバーという中団チーム間における動きであったため、「あまり意味を持たない移籍」と見る向きもある。しかし、ヒュルケンベルグは自身の下した決断を次のように説明した。
「確かにザウバーの方が劣っていたレースもあった。でも今年、ザウバーはクルマの速さを存分に見せつけていた」
「僕自身、今年はザウバーに追い抜かれることが多々あった。そのたびに遠ざかっていくクルマの後ろ姿を見ながら思ってたよ。なんてすごいクルマなんだ! ってね」
「だから自然とあのクルマに乗ってみたいって思うようになったんだ」そう言いながらヒュルケンベルグは微笑んだ。
フェラーリエンジンを搭載しているザウバーへの移籍は、2014年からフェラーリへ移籍する布石なのでは、とささやかれてきた。
ザウバーにはどのくらいいるつもりなのかたずねられたヒュルケンベルグは、笑いながら「まだわからないよ。来年になればわかるだろうね」と答えた。
「ザウバーは基本的に1年契約しか結ばないチームなんだ」