F1の統括団体であるFIA(国際自動車連盟)は、電気自動車(EV)による新たなレースカテゴリー「フォーミュラE」の実現に向けて動いている。現在はピレリのF1テストドライバーを務め、かつてはヴァージン(現マルシャ)の正ドライバーだったルーカス・ディ・グラッシが、このプロジェクトにかかわっていることがわかった。
FIA会長のジャン・トッドは、下位カテゴリーGP2とGP3に参戦しているアダックスのチーム代表アレハンドロ・アガグや、香港に拠点を置く投資家たちと2014年に開催を目指す新シリーズを売り込むための契約にすでにサイン済みである。
このフォーミュラEで使用されるクルマは、リチウム電池と電気エネルギーのみで駆動し、公式テストドライバーを務めるディ・グラッシによって開発される予定だ。
新シリーズのうち1戦はブラジルのリオ・デ・ジャネイロで開催される見通しで、FIAはほかにも「世界の主要都市の中心部で、観光名所の近くを走るコースで実現できれば理想的」と考えている。
『Reuters(ロイター通信)』は、ベルリンのシンボルとされるブランデンブルク門が「ドイツの第1候補になるだろう」と報じた。
『Financial Times(フィナンシャル・タイムズ)』紙は、この新シリーズの目的を「伝統的なF1チームや電気自動車メーカー、そして世界的な自動車ブランドから参加者を集めるため」とする。
また、同記事内で、マシンの最高速度が時速220kmに到達すること、25分を過ぎるとバッテリーが切れるためレース中にマシンごと交換するピットストップが必要なこと、などが紹介されている。
アガグは、「フォーミュラEの開始当初から大手自動車メーカーに参戦してもらえるとは思っていない」と話す。
「自動車業界は電気自動車のレースをまだよく知らない」
「でも、大規模になったら参入してくるはず」とアガグは期待を寄せる。