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F1ベルギーGPのみどころ

2012年08月30日(木)13:06 pm

約1ヶ月の夏休みを過ごしたF1だが、今週末の第12戦ベルギーGPからシーズン後半戦が始まる。

・開催サーキット
ベルギーGPの舞台となるのは、スパ・フランコルシャン。以前は全長が14km以上ある非常に長いサーキットだったが、数回のコース改修を受け、現在は全長約7kmに短縮された。それでもほかのF1サーキットに比べるとコースの全長は長い。

山の中に作られたサーキットであるため、こう配の変化が激しく、高速コーナーが多いことから、攻略が難しいサーキットとしても知られている。そのため、多くのドライバーが好きなサーキットとしてスパを挙げる。また、高速、中速、そして低速コーナーまでそろっているコースであることから、あらゆる面で性能の高いクルマが強さを発揮する。

数多くある高速コーナーの中でも、特に有名なのが2コーナーのオー・ルージュ。ヘアピンになっている1コーナーを抜け、坂を下ると高速で左に曲がりながら今度は壁のような坂を駆け上る。現在のF1マシンでは難易度がやや下がったが、昔から度胸の試されるコーナーとしてファンやドライバーから人気が高いコーナーだ。

・抜けるサーキット
近年のF1は、オーバーテイクと呼ばれるコース上での追い抜きが少なくなったことが問題視されているが、スパは比較的オーバーテイクが多いコース。最もオーバーテイクのチャンスが大きいのはオー・ルージュを抜け、その先のケメル・ストレートを駆け抜けたところにある5コーナーのレ・コーム。

レ・コームの前は長いストレートになっており、このストレートで前車との距離を縮め、レ・コームへのブレーキングで仕掛けるのがセオリーだ。2000年には、ミハエル・シューマッハ(現メルセデスAMG)とミカ・ハッキネンがここで激しいバトルを繰り広げ、周回遅れのクルマをはさんで3台が横並びになる状態でのオーバーテイクを披露し、近代F1の名場面とも言われている。このほかにも、最終シケインや、1コーナーも追い抜きのチャンスになることが多い。

昨年から追い抜き増加を目的に導入されたDRS(空気抵抗低減システム/可変リアウイング)を決勝で使える区間も、このケメル・ストレートの途中からレ・コームまでの区間に設定される。

・予測不能な「スパ・ウェザー」
山にあるサーキットのため、天候が急激に変化することもスパの特徴であり、「スパ・ウェザー」として知られている。また、全長7kmにもなる大きなサーキットであることから、サーキットの一部では雨が降り、ほかの区間では路面が乾いているという状態も珍しくない。

その時々の路面状況に適したタイヤを選択できるか否かによって、タイムを大きく落とすことにもなるため、路面状況をうまく見極めたタイヤ選択が重要になる。しかし、すぐに雨がやんでしまうこともあり、雨用タイヤを装着して速いタイムで走行するのか、ドライタイヤのまま走り続けてタイヤ交換によるタイムロスを回避するのか、雨が降った場合には各陣営とも頭を悩ませ、チームの総合力が試されるコースでもある。

今回、タイヤサプライヤーのピレリが持ち込むドライタイヤは4種類ある中で最も硬い組み合わせのミディアムとハード。ミディアムはタイヤ側面のロゴが白、ミディアムはロゴが銀になっている。決勝では、雨用のタイヤを使用しない限り、この2種類のタイヤ両方を使用することが義務付けられる。

・優勝争いは?
序盤戦は波乱の展開になることが多かった今季F1だが、シーズンが進むにつれてトップチームが安定した強さを見せるようになってきた。今回も、レッドブル、マクラーレン、フェラーリといったチームが優勝争いの有力候補と言えるだろう。しかし、開幕から速さを見せているロータスからも目が離せない。

ロータスは、ベルギーGPでDRSを応用させたダブルDRSと呼ばれるパーツを実戦に投入予定とされている。これは、ストレートでの最高速を高める効果があり、高速区間の多いスパでは非常に効果のあるパーツだ。また、今年ロータスからF1に復帰した2007年のF1王者キミ・ライコネンは、スパとの相性がとてもいいドライバー。ライコネンの復帰後初勝利の可能性も決して低くはない。

・小林可夢偉、ザウバーの動向は?
セルジオ・ペレスが運に恵まれながら2度の表彰台を経験する一方、小林可夢偉は不運な展開になることも多く、チームメート間で明暗が分かれた印象もある前半戦のザウバー。しかし、両ドライバーともスパは自分たちのクルマに合っていると自信を見せる。

可夢偉もどんなコンディションになっても強さを発揮する自信があると、力強いコメントを残している。天候が急変することも多いスパだけに、天候変化に合わせてうまい判断をできれば、大きく順位を上げることも可能だ。10月に迫る日本GPに向けて勢いをつけるためにも、可夢偉の好成績に期待したい。

・ミハエル・シューマッハがF1参戦300戦目
今週末のベルギーGPで、ミハエル・シューマッハ(メルセデスAMG)はF1参戦300戦目を迎える。300戦の大台に到達するのは、昨年にF1を引退したルーベンス・バリチェロに次いで2人目という偉業だ。

しかも、スパはシューマッハにとって非常に思い出深いコースになっている。シューマッハが1991年にF1デビューを果たしたのがスパだった。その1年後、F1初優勝を記録したのもスパ。ここスパでタイトルを確定させたこともあり、先述のハッキネンとのバトルはいまだに語り継がれている。「スパはまるで自宅のリビングルーム」と語るシューマッハからも目が離せない。

天候の面でも波乱が予想されるベルギーGPは、31日(金)現地時間10時(日本時間17時)に開幕。決勝は、9月2日(日)現地時間14時(日本時間21時)にスタートする。

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