元F1ドライバーのネルソン・ピケJr.が、アメリカの人気カテゴリーNASCARで初優勝。その優勝会見で、F1参戦時代を振り返った。
過去3度のF1チャンピオンに輝いた父を持ち、2008年にルノー(現ロータス)のレギュラードライバーとして採用されたピケJr.。しかもマネジャーを務めたのは当時ルノーのマネジングディレクターを務め、実質的なチーム代表だったフラビオ・ブリアトーレであり、その将来は約束されたようなものであった。
こうして順風満帆なF1キャリアを築き上げていくかと思われたピケJr.だが、2009年に発生したクラッシュゲート事件によってF1界を追放されてしまう。クラッシュゲート事件とは、ブリアトーレらが、2008年のシンガポールGPで当時所属していたフェルナンド・アロンソ(現フェラーリ)を優勝させるため、チームメートであったピケJr.にわざとクラッシュすることを命じ、これによってセーフティカーの導入をはかったとされる事件だ。
そんなピケJr.の選んだ道が、アメリカで非常に人気のあるNASCARだった。
2010年からNASCAR参戦を続けてきたピケJr.の苦労が、ようやく報われる時が来た。NASCAR最高峰のスプリントカップ・シリーズの1つ下に位置するカテゴリー、ネイションワイド・シリーズに参戦しているピケJr.は23日(土)、ロード・アメリカで行われた決勝でポールポジションからスタートし、見事に初優勝を挙げたのである。
優勝会見の際、クラッシュゲート事件が自身に何をもたらしたのか、そして実際には何が起きたのかとの質問を投げかけられたピケJr.は、以下のように答えている。
「(F1で)何が起きたかって?」
「そんなことわからないよ。どんなことだって起きる可能性があるんだ」
「つまりタイミングなんだ。正しい時に正しい場所にいるためにはね。(個々のレースで)勝利を挙げたり、年間チャンピオンを獲得したりしたドライバーがごろごろしている。彼らの中には、以前僕と争った者もいるし、僕に勝てなかった者もいるんだよ」
「そうは言っても、やはり正しいときに正しい場所にいることが必要であって、それが僕には足りなかった。でもようやく今、(NASCARにおいて)それが僕にもやって来たんだ」