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ピレリ、「魅力あるレース」を目指したタイヤに その2

2012年01月30日(月)20:35 pm

25日(水)にアブダビで2012年F1タイヤを発表したピレリ。コンパウンドや形状の変更が行われているが、その理由や詳細についてピレリが明かした。以下、ピレリのプレスリリースより。

レーシングタイヤシステム: ピレリは、各タイヤのパスポートを作成

2012年用タイヤを開発するため、ピレリのエンジニアは、レーシングタイヤシステム(RTS)を最大限に活用しています。RTSは、テストやレース中の各タイヤの性能データを収集し、解析するコンピュータシステムです。ピレリのIT部門で開発されたRTSは、使用時のあらゆる局面におけるタイヤの性能、摩耗、動作をモニタリングすることを可能にします。さらに、RTSは、製造段階からサーキットまで、リアルタイムに使用状態、性能、摩耗率などの情報を更新しながら、タイヤの生涯を追跡します。ピレリの全レース用タイヤが製造されるイズミットの工場で製造後、RTSが各タイヤの製造データをパスポートのように登録します。タイヤがサーキットに到着し、マシンに装着後、情報が収集されていきます。この時点から、タイヤの温度、圧力、摩耗率など全ての情報が登録され、特殊なタブレット型コンピュータを使用して、サーキット上のピレリエンジニア、ミラノの研究開発部門、各チームが情報に即座にアクセス出来るようになります。このようにして、各マシンの性能の分析と将来のタイヤ開発のためのスタート地点を形成する仮想データベースが構築され、絶え間なく更新されていきます。

Cinturatoが復活: 1950年代のチャンピオン

2012年シーズンは、世界モータースポーツの最高峰にCinturatoの名称が復活した年として刻まれます。この名称は、F1のみではなく、タイヤ製造の産業史にも繋がっています。Cinturatoは、1951年、ファン・マヌエル・ファンジオのAlfa 159でデビューし、彼を選手権王者へと導きました。そして、MaseratiやFerrari 375に装着されていたもう一つのピレリタイヤStella Biancaとともに、しばしば表彰台に上りました。Cinturatoは、F1で1950年代半ばまで戦い、その後は乗用車用タイヤとして、当時の最先端技術を搭載したスポーツカーで使用されました。

Cinturatoタイヤは、乗用車用タイヤの最前線にいた1960年代を通して、自動車産業におけるベンチマークとして、その名前を刻みました。1950年代にCinturato用に開発された革新的技術は、その名前をラジアルベルト(イタリア語で‘cintura(チントゥーラ)’)から取っています。ラジアルベルトは、放射状に配置されたタイヤカーカスを締め付ける役割を持ちます。当初は織物繊維から作られ、後に金属から作られるようになりました。この技術革新は、1960年代以降、速いコーナリングスピードに対処することができる、より幅広いタイヤへの道を切り開きました。今日、ピレリのF1における雨天用タイヤの名称を表すとともに、Cincuratoは、世界的タイヤ産業における最も成功した製品名の一つでもあります。Cinturato P7 は、性能、安全性、耐久性、省エネルギーというピレリのブランド価値を完璧に表現する製品です。

ピレリのF1チーム

ピレリは、2012年F1世界選手権用として、合計45,000本のタイヤを供給します。世界モータースポーツ界最高峰用のタイヤは、世界屈指の最先端工場である、トルコのイズミット工場内の専用設備で製造されます。ピレリのエンジニアは、グランプリレースの要求を完璧に満たすタイヤを作るために、最先端のマシンと革新的技術を、この工場に投入しています。
レース時および公式テスト時におけるピレリのF1チームは、エンジニアから技術者まで、総勢50名のスペシャリストにより構成されています。各F1チームに対して、ピレリから1名の専任エンジニアと数名の技術者およびフィッターがアサインされます。

ピレリF1チームは、世界各国からの人々で構成されていますが、ミラノのピレリ技術開発本部を本拠地としています。この技術開発本部は、常にピレリグループの最先端技術の中心であり、1,000名の研究者を雇用しており、世界5箇所に研究所があります。モータースポーツは、ピレリの最も重要な研究室です。ピレリグループのタイヤ部門における業界の代表的な革新的技術はここから生み出されてきました。

F1へのタイヤ供給契約は、モータースポーツ界におけるピレリの名を最高峰に位置づけています。ピレリは、1907年の北京-パリロードレースで勝利して以来、モータースポーツの世界と関わりを持ってきました。また、ピレリは、2輪および4輪ともに、世界の重要なモータースポーツ世界選手権の単独サプライヤーでもあります。4輪では、GP2、GP3シリーズ、2輪では、世界スーパーバイク選手権です。さらに、ピレリは、70の国内、国際レースとラリーシリーズにタイヤを供給しています。世界ラリー選手権には、2008-2010まで単独サプライヤーとして参画していました。

F1とサスティナビリティ

最高基準の性能と安全性を環境配慮と組み合わせた製品やソリューション設計に特化した、ピレリのプレミアム戦略に続き、F1タイヤ供給契約は、環境のサスティナビリティ基準を含んでいます。ピレリの他のモータースポーツタイヤと同様に、P Zeroの生産工程からもアロマオイルは一切排除されています。イズミットで採用されている産業プロセスは、エネルギーと水の効率や、二酸化炭素などの有害物質の排出削減を基盤としています。

タイヤ生産時の残滓と使用済みタイヤの再利用にも特別な注意が向けられています。廃棄物処理規定には、使用済みF1タイヤを新たな主原料の生成またはエネルギー生成に再利用することが盛り込まれています。

2011年シーズンに製造されたタイヤは、レース用28,600本、テスト用6,000本でした。これらは全て再利用されています。
ピレリのサスティナビリティへの注力は、ダウ・ジョーンズ・サスティナビリティSTOXXとダウ・ジョーンズ・サスティナビリティ・ワールド・インデックスにおける最近の動向にも現れています。ピレリグループは、ダウ・ジョーンズ・サスティナビリティ・ワールド・インデックス’Autoparts and Tires’部門において6年連続トップに位置づけられています。

中東におけるピレリ

ピレリは、中東におけるマーケットリーダーの一員です。この地域では、過去数年間、ピレリがリーダーとなっているウルトラ・ハイパフォーマンスセクターの売上が一貫して増加しています。ピレリの中東本社はドバイにあり、ヨーロッパから、最もプレステージャス・レンジである P Zeroファミリーを輸入しています。これらは、現在販売されている最もパワフルなスポーツカーである、フェラーリ、ランボルギーニ、ポルシェ、アストン・マーチン、ベントレー用に開発されたものです。また、ピレリは、エジプトのアレクサンドリアの工場で製造されるバスやトラック用のタイヤで、この地域のマーケットにおける力強い存在感を示しています。トルコのイズミットにある産業と流通のハブは、乗用車用および商用車用タイヤを供給するとともに、中東マーケットにおけるサービスの基盤となっています。

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