F1チーム関係者たちは、マクラーレンがライバルチームたちの2018年型車開発を妨害するためにシャークフィン廃止に動いたと考えているようだ。
■2018年にはシャークフィンが禁止に
昨年までと大きくシャシー仕様が変わった2017年シーズンだが、すべてのチームがエンジンカウルに昨年までは見られなかったシャークフィンと呼ばれるパーツを採用している。そしてこのほどこのシャークフィンが2018年には禁止されることになった。
そもそも、2017年シーズンが開幕した当初このシャークフィンはあまり格好がよくないという批判が起こり、F1統括団体であるFIA(国際自動車連盟)は、2018年にはこのシャークフィンを禁止するという方針を示していた。
だが、その後F1チームが全員一致で来年もシャークフィンを存続させることで合意したという経緯があった。当初は反対意見もあったシャークフィンだが、今ではほとんどのチームがそこにカーナンバーやドライバー名の略号を配しており、ドライバーの識別もしやすくなったことでファンの反応もそれほど悪くはなくなってきている。
だが、ここへきてマクラーレンのエグゼクティブディレクターであるザック・ブラウンが突然翻意してシャークフィン継続反対の意思表示を行った。FIAが提示した案をくつがえすにはF1チームの全員一致が条件であり、マクラーレンが反対に回ったことで2018年にはシャークフィンが廃止されることになってしまったというわけだ。
■マクラーレンの突然の拒否権発動に困惑するライバルたち
これにはライバルチームの関係者も驚かされたようだ。
「我々は、それ(シャークフィン)を残し、そこに(カー)ナンバーを表示することに全員一致で合意したと思っていたよ」
そう語ったレッドブルのチーム代表クリスチャン・ホーナーは次のように付け加えた。
「そしていつもと同じように会議を終えたつもりだったが、状況が変わってしまった」
今回、ブラウンがシャークフィンを廃止する必要があると主張した根拠は、それがあることでリアウイングの広告宣伝効果が薄れてしまうということのようだ。
マクラーレン加入前はモータースポーツに特化した広告事業を展開していたブラウンだが、今回シャークフィンに関して「この大きなエンジンフィンによりリアウイングが隠れてしまう。これによってレースカーの広告スペースの価値が小さくなり始めたということだ」と主張したと伝えられている。
■マクラーレンの意図を疑うライバルチーム
だが、ドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』は、F1チーム関係者の中には、マクラーレンが土壇場で“拒否権”を行使したのはライバルたちの2018年型F1マシン開発に打撃を与えるためだろうと考えているところもあると伝えている。
フォース・インディアの技術責任者を務めるアンドリュー・グリーンは次のように語っている。
「我々はシャークフィンがあるという前提でリアウイングの開発を行ってきている。ほとんどのチームも同じようにやったはずだと思っているよ」
ホーナーも、レッドブルの空力部門のエンジニアたちからマクラーレンのせいで「リアウイングが台無しになった」との報告を受けたことを明かしている。
フェラーリのチーム代表を務めるマウリツィオ・アリバベーネも、「どういうわけか、ザックはフィンを取り除くことで広告宣伝スペースを無くしてしまおうとしている。それに加え、今後また新たに(カー)ナンバーを付ける場所を見つけなくてはならないんだ」と語り、次のように付け加えた。
「だから、私としては、これは何かおかしいと考えているよ」