オランダ出身の元F1ドライバーであるヤン・ラマースが、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)の走りがあまりにも攻撃的過ぎるという批判はおかしいと主張している。
2015年に17歳の若さでF1デビューを飾り、2年目の今年は第5戦スペインGPからトップチームであるレッドブルに昇格を果たしたマックス・フェルスタッペンだが、あまりにも強気のドライビングを行うことでF1関係者ばかりでなく、同僚F1ドライバーたちから批判を受けることも少なくない。
■ポイントリーダーにも遠慮なしのフェルスタッペン
前戦F1メキシコGP(第19戦)決勝においても、19歳となったフェルスタッペンはまずスタート直後に今季のF1タイトル争いを演じているポイントリーダーのニコ・ロズベルグ(メルセデスAMG)に接触し、コース外に押し出してしまった。幸いロズベルグにはダメージもなく、そのままコースに戻って2位でフィニッシュしたものの、メルセデスAMGのチーム首脳陣はレース後にそのときのフェルスタッペンの走りを強く批判していた。
さらに、レース終盤に3番手を走行していたフェルスタッペンは、後方から迫ってきたセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)のプレッシャーによりブレーキングミスを犯してコースオフ。フェルスタッペンはそのままコーナーをショートカットしてベッテルの前でコースに戻っていた。
■ベッテルがキレる原因を作っていたフェルスタッペン
通常、こうしたときにはショートカットによるアドバンテージを利用したと見なされるため、後続のドライバーに順位を譲ることが暗黙の了解事項となっている。だが、フェルスタッペンはそのままベッテルの前に居座り続け、これによってチームメートのダニエル・リカルドがベッテルに追いつくのを助けていた。
ベッテルは無線で激しくフェルスタッペンをののしっていたが、その後リカルドがコーナーで自分のインをつこうとしたときにラインを変え、両者が接触。結局、このときのライン変更がルール違反だったとして後に10秒加算ペナルティーを受けて3位表彰台の喜びがつかのまのものと変わってしまったベッテルだった。
しかし、もしフェルスタッペンがコースオフした際、チームからも助言されていたように素直にベッテルに順位を譲っていれば、ベッテルの無線での「暴言」や、その後のリカルドとのクラッシュも避けられていたのかもしれない。
■フェルスタッペンのワナにはまったベッテル?
ベッテルのチームメートであるキミ・ライコネンとも再三にわたって激しい攻防を繰り返し、鈴鹿ではシケイン手前でアウトから攻撃をしかけたハミルトンに対してブレーキング時にラインを変えて防御し、ハミルトンのコースオフを招いたという“実績”を持つフェルスタッペンだが、このときのフェルスタッペンの行為がきっかけとなって「フェルスタッペン・ルール」とも言われるブレーキング時のライン変更制限ルールが制定されたという経緯もあった。そして、そのルールによってペナルティーを下されたのが今回のベッテルだったと言うわけだ。
ともあれ、フェルスタッペンがときとしてほかのドライバーたちにとって厄介者となっているのは確かだろう。
■フェルスタッペンへの批判は不当だとラマース
しかし、主に1980年代前半にF1で活躍した60歳のラマースは、同じオランダ出身の後輩ドライバーだからというだけでなく、「客観的」に見てもフェルスタッペンは優れたドライバーであり、過剰な批判は間違いだと主張している。
「確かに彼(フェルスタッペン)は何人かのドライバーを怒らせた。だが、それは単に彼がうまいやり方で彼らを追い抜いたか、あるいは彼が賢く、優れた技術で防御したことで彼らが彼を追い抜くことができなかったことによるものだ」
ラマースは、自身のフェイスブックにそうつづり、次のように付け加えている。
「もちろん、彼がもう少しでほかのドライバーに接触しそうになったり、あるいは彼らがもう少しで彼に接触しそうになったりしたこともあった。だが、それもF1における技術のひとつなんだ」