2023年F1第7戦モナコGP(モンテカルロ市街地)の予選は、大接戦の末、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)がモナコGPで初のポールポジションを獲得、モナコで37人目のポールシッターが誕生した。
2番手はわずか0.084秒差のフェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)、3番手はシャルル・ルクレール(フェラーリ)だった。
●【2023F1第7戦モナコGP】予選Q1-Q2-Q3の結果、周回数
■Q1:ペレスがクラッシュ!角田裕毅が2番手でQ2進出!
18分間の予選Q1でいきなり赤旗が出されてセッションが中断した。
セクター1でイエローが出されると、映像は1コーナーを出たところのコース中央で立ち往生している昨年の優勝者セルジオ・ペレス(レッドブル)を映し出した。
リプレイを観ると、ペレスは昨日のアレクサンダー・アルボン(ウィリアムズ)と同じように、ややオーバースピードでターン1に飛び込んでリアを滑らせ、カウンターを当てたものの左サイドをテックプロバリアに激しく当ててしまった。
リアセクションは激しく壊れ、サイドポンツーンも穴が空いている。ギアボックスへのダメージもありそうだ。
時計は残り11:12秒で止まっているが、その時点でペレスは5番手につけていた。
セッション再開後、トラック・エボリューション(路面の進化)によりタイムは次々と更新され、ランド・ノリス(マクラーレン)を上回ったアレクサンダー・アルボン(ウィリアムズ)がトップに立つと、残り8分過ぎにマックス・フェルスタッペン(レッドブル)がトップへ。このタイムを誰が更新するのか注目が集まる。
残り7分頃、フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)がトップに立ち、久しぶりのポールポジションへの期待が高まる。
残り5分を切ると、フェルスタッペンが0.242秒上回って再びトップへ。シャルル・ルクレール(フェラーリ)も届かない。Q1はこれで決着がついたように思えた。
しかし、残り2分17秒を切ったところで8番手の角田裕毅(アルファタウリ)が新品ソフトタイヤを履いてタイムシートのトップに躍り出た!フェルスタッペンとはわずか0.002秒差だ。
そのまま誰も角田裕毅のタイムを更新できないままチェッカーフラッグが振られ、各ドライバーの最後のアタック次第では角田裕毅がトップタイムでQ1を通過するかに見えた。
しかし、最後は現役王者のフェルスタッペンが0.256秒上回った。それでも角田裕毅は2番手タイムでQ1を通過した。
Q1トップタイムはマックス・フェルスタッペン(レッドブル)、2番手は角田裕毅(アルファタウリ)、3番手はアレクサンダー・アルボン(ウィリアムズ)という結果だった。
角田裕毅のチームメート、ニック・デ・フリース(アルファタウリ)も15番手でQ2に進出した。
ルイス・ハミルトン(メルセデス)は終盤、トンネル出口後のシケインでブレーキングミスをしてアタックに失敗し、Q1ノックアウトゾーンに入っていたが、最後のアタックを成功させ7番手で抜け出した。
アルボンが最後のアタックで3番手タイムを出していることからも、路面が急激に進化していることがわかる。
【F1モナコGP予選Q1敗退】
16 ローガン・サージェント(ウィリアムズ)
17 ケビン・マグヌッセン(ハース)
18 ニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)
19 ジョウ・グァンユ(アルファロメオ)
20 セルジオ・ペレス(レッドブル)
■Q2:緊迫の最終アタック
15分間のQ2も激しいバトルが繰り広げられ、次々とタイムが更新されていく。
残り9分過ぎ、角田裕毅のリプレイが流された。トンネル出口後のシケインでブレーキをロックさせ白煙を上げてしまい、アタックを止めてしまった。この時点で角田はノータイムの15番手だ。マシンは戦闘力で劣っているため、Q3進出に向けて仕切り直してもう一度集中し直したい。
フェルスタッペンは1分11秒台に突入した。
残り7分過ぎ、エステバン・オコン(アルピーヌ)がターン1でガードレールに軽く接触しながら抜けていくなど、各ドライバーがギリギリまで攻めているのがわかる。
残り2分29秒、ここまでノータイムだった角田裕毅が7番手タイムを叩き出した!これでハミルトンがノックアウトゾーンに落ちてしまった。
直後ノリスがターン12(タバコ・コーナー)で強めにガードレールに当たった。リプレイでは、その手前のヌーベルシケイン出口でマシン左フロントタイヤをガードレールに強めに擦っていて、その影響が出たのかもしれない。そのままピットへ戻って、Q3に向けて修復を試みる。誰にとってもギリギリの戦いだ。
残り20秒、11番手のハミルトンが中古タイヤのままアタックに入っていった。ハミルトンは「タイヤがダメだから行きたくない」と訴えるが、11番手という状況を知っているチームは「このラップは行かないとダメだよ」と促し、ハミルトンは気持ちを切り替えて最終アタックに入っていった。
チェッカーフラッグが振られた時点でハミルトンはデ・フリースに抜かれて12番手に落ち、最後のアタックでミスは許されない。ジョージ・ラッセル(メルセデス)は4番手につけていることから、なんとしてもQ3進出を果たしたいところだが、ここはさすが7冠王者、驚異的な集中力で5番手タイムでQ3進出を果たした。
Q2トップタイムはマックス・フェルスタッペン(レッドブル)、2番手はシャルル・ルクレール(フェラーリ)、3番手はフェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)だった。
角田裕毅はQ1に続いて素晴らしい集中力を発揮し、Q2を9番手で終えて見事Q3進出、ニック・デ・フリース(アルファタウリ)は12番手でQ2敗退だった。前日、角田はQ3進出は難しいと弱気の発言をしていたが、タイヤをうまく使ってマシンの限界を引き出した。
ガレージで修復作業をしているノリスは、10番手で通過した。マクラーレンのスタッフはQ3に間に合わせようと懸命の作業をしている。
ランス・ストロール(アストンマーティン)はピットインした際に重量計測を無視してしまい、何らかのペナルティが科せられそうだ。
【F1モナコGP予選Q2敗退】
11 オスカー・ピアストリ(マクラーレン)
12 ニック・デ・フリース(アルファタウリ)
13 アレクサンダー・アルボン(ウィリアムズ)
14 ランス・ストロール(アストンマーティン)
15 バルテリ・ボッタス(アルファロメオ)
■Q3:トップドライバーたちによる熾烈なポールポジション争い!
12分間のQ3が始まった。クリアラップを取ろうとフェルスタッペンが先頭でコースインしていく。
最初のアタックは、フェルスタッペンが1:12.102、アロンソは1:11.706というタイムをマークし、11年ぶりのポールポジションに近づいた。サインツとルクレールのフェラーリ勢もアロンソのタイムに及ばない。
アストンマーティンのピットが「現時点でP1だよ」と讃えると、アロンソは「いいね、野獣のようにプッシュしてるよ!」と返した。珍しく息が荒いことから、全力でアタックしているのが伝わってくる。
セッションがちょうど半分となった残り6分、ノリスが修復作業を終えてガレージから出て行った。マクラーレンのスタッフたちは大きな仕事をやり終えたといった表情だ。
残り4分30秒頃、フェルスタッペンが1:11.654を叩き出し、アロンソを0.052秒上回ってトップに躍り出た!しかしまだ時間は残っている。
残り4分、サインツ、ルクレールのフェラーリ勢と角田裕毅が出ていった。アロンソ、ラッセルはガレージの中で最終アタックのその時を待つ。するとQ1とQ2で苦戦していたハミルトンが3番手タイムを出した。これでフェルスタッペン、アロンソ、ハミルトンとワールドチャンピオンの3人がトップ3だ。
残り3分30秒、その3人の王者を上回ったのはエステバン・オコン(アルピーヌ)だった。路面はどんどん進化しており、タイミングをうまくつかめるかが重要になってくる。
残り1分20秒、地元ルクレールがトップに躍り出た!タイムは1:11.471だ。サインツも3番手に入ってきた。ポールポジションはまだわからない。
残り50秒、「野獣のように」プッシュしたアロンソがセクター1と2で全体ベストを出し、1:11.449でルクレールを0.022秒上回った!アストンマーティンのガレージは大興奮だ。
カメラは最終アタック中のフェルスタッペンを映し出すが、セクター1と2はアロンソを上回れない。この時点で勝負は決まったと思われた。しかし、セクター3で驚異的なタイムを叩き出し、最終的には1:11.365というタイムでアロンソを0.084秒上回り、見事、F1モナコGP初ポールポジションを獲得した。
クリスチャン・ホーナー代表は「最後のセクターは信じられないよ」と伝えると、フェルスタッペンは「ストレートで壁に当たったよ(笑)」とわずか数センチでも最短距離を走ろうとギリギリまで攻めて獲得したポールポジションだった。
ピットレーンに戻ってきたフェルスタッペンに、負けたアロンソは握手をし、健闘を称えた。汗だくのアロンソは全力を尽くしたという満足げな表情だった。
しかし、F1モナコGPは、ポールポジションからスタートしても44%しか優勝していない。明日のターン1を取るのはフェルスタッペンかアロンソか。レース中の戦略にも注目したい。
角田裕毅は9番グリッドからスタートし、ポイント獲得に期待が高まる。
明日の決勝レースは、日本時間22時からスタートする。
■【F1モナコGP予選】
1 M.フェルスタッペン(レッドブル)
2 F.アロンソ(アストンマーティン)
3 C.ルクレール(フェラーリ)
4 E.オコン(アルピーヌ)
5 C.サインツ(フェラーリ)
6 L.ハミルトン(メルセデス)
7 P.ガスリー(アルピーヌ)
8 G.ラッセル(メルセデス)
9 角田裕毅(アルファタウリ)
10 L.ノリス(マクラーレン)
11 O.ピアストリ(マクラーレン)
12 N.デ・フリース(アルファタウリ)
13 A.アルボン(ウィリアムズ)
14 L.ストロール(アストンマーティン)
15 V.ボッタス(アルファロメオ)
16 L.サージェント(ウィリアムズ)
17 K.マグヌッセン(ハース)
18 N.ヒュルケンベルグ(ハース)
19 G.ジョウ(アルファロメオ)
20 S.ペレス(レッドブル)
●【2023F1第7戦モナコGP】予選Q1-Q2-Q3の結果、周回数
●F1モナコGP予選ハイライト(F1.com公式@YouTube)