メルセデスのチーム代表を務めるトト・ヴォルフが、自分たちのF1マシンのパフォーマンスをより高めていくために、ルイス・ハミルトンの意見にも耳を傾けていくつもりだと語った。
フェラーリが2023年型F1マシン改善のために用意している新型リアサスペンションの投入を延期したと伝えられている一方で、メルセデスは来週末に行われるモナコGP(28日決勝)に向けて大幅に改良したマシンを準備しているようだ。
■新コンセプトF1マシンをモナコで投入するメルセデス
フェラーリとメルセデスはともにイモラで行われるエミリア・ロマーニャGPに改良マシンを投入する予定にしていたが、そのレースは洪水により中止となってしまった。
そして、フェラーリは、その改良マシンを来週末のモナコGPで投入するのはリスクが高すぎると結論付けたようだ。フェラーリの改良マシンが実際に投入されるのは、バルセロナで行われるスペインGP(6月4日決勝)となる予定だ。
しかし、メルセデスではモナコGPの舞台となるモンテカルロ市街地サーキットにおいて、これまでの“ノーサイドポッド”と呼ばれたコンセプトに代わる新たなサイドポッドが備えられたマシンをデビューさせることになる。
だが、オーストリア出身のヴォルフは、今回のマシンアップグレードにそれほど大きな期待を抱いてはいないとも伝えられている。
■現行マシンのシートポジションに不満を抱えるハミルトン
その一方で、ルイス・ハミルトンは新たなマシンのシートポジションに今後修正が加えられることを大いに楽しみにしているようだ。
「僕たちはほかのドライバーたちよりも前輪に近い位置に座っているんだ」
7度F1チャンピオンとなった記録を持つ38歳のハミルトンは少し前にそう語ると、次のように付け加えていた。
「僕が運転するとき、まるで前輪の上に座っているような感じがするんだ。僕にとって、それはレーシングカーの最悪の感覚のひとつだよ」
■ハミルトンの意見に耳を傾けるとヴォルフ
バジェットキャップ(チーム予算上限)の制約があることから、メルセデスも基本的なマシンの構造に大きな変更を加えることは不可能だ。しかし、ヴォルフはハミルトンが望む微調整を行う程度の自由度はあると『Speed Week(スピードウィーク)』に語り、次のように続けた。
「我々のコックピットはほかのマシンより少し前方にあり、それがルイスを苛立たせているのは事実だよ。すでに2022年にそうなっていたんだ」
「技術的な観点からは、我々はそれで問題ないと考えている。しかし、我々はドライバーのポジションにも目を向けているところだ。というのも、重量配分や空力といった理論的なものだけでなく、ドライバーのフィーリングも重要だからね」
そう語ったヴォルフは、次のように付け加えている。
「ルイスは我々に何を求めているのかを非常に明確にしてきたし、我々もそれに耳を傾けるつもりだよ」