メルセデスは21日(金)、2021年6月までF1チームの技術部門を率いていたジェームズ・アリソンを再びテクニカルディレクターに復帰させることを発表した。
昨年はそれまで8連覇を達成していたF1コンストラクターズタイトルをレッドブルに奪われたメルセデスだが、今年もここまでのところはレッドブルに大きな差をつけられている。
こうしたことから、メルセデスは2021年7月にチーフテクニカルオフィサーに昇格したアリソンの後任としてテクニカルディレクターを務めてきたマイク・エリオットを諦め、再びアリソンをF1チームの技術部門責任者として復帰させるのではないかとの噂がささやかれるようになっていた。だが、チーム代表のトト・ヴォルフは、今から3週間ほど前にはそうした噂を否定するコメントを行っていた。
■すでに数週間前に現場復帰していたアリソン
しかし、結局メルセデスは、アリソンとエリオットの役割を交代させることを決断。アリソンがテクニカルディレクターとしてF1現場に復帰し、エリオットはアリソンと交代してチーフテクニカルオフィサーとなり、技術分野全体の組織管理的な仕事に従事することになるようだ
ドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』によれば、55歳のアリソンは実際にはすでに「数週間前」にテクニカルディレクター職に復帰していたという。
その頃、ヴォルフはすでに2022年及び2023年シーズンに投入した「ノー・サイドポッド」と呼ばれるユニークなメルセデスF1マシンのコンセプトが失敗であったことを率直に認めていた。
「マイクのリーダーシップのもと、我々は開発部門の見直しを行った」
「我々が集中しているのは最高のマシンを造ることであり、そのマシンを開発するための最高のチームを編成することだ」
「それは、どうすれば組織の全員がそれぞれの強みを最大限に発揮することができるのかを理解することに尽きる」
『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』にそう語ったヴォルフは、アリソンとエリオットの役割の入れ替えはすでに「数週間前に実施」されていたことを認めている。
■今回の組織見直しを提言したのはマイク・エリオット
そして、ヴォルフによれば、今回の技術部門体制の見直しは、エリオットの提案によるものだったという。
ヴォルフは、ドイツの『Speed Week(スピードウィーク)』に次のように語っている。
「我々は役割を入れ替えた」
「マイクは、現場ではジェームズの方がより剣闘士タイプである一方、自分は技術的体制を改善する方がより適していると考えたんだ」
「私は、マイクが自ら今回の動きを提案したことを評価しているよ」
しかし、伝えられるところによれば、アリソンは今後も、メルセデスF1チームの株主であり、スポンサーでもある『イネオス』のチームUKブリタニア・アメリカズカップ・プロジェクトへの関与を継続することになるという。
これまでの報道によれば、メルセデスは今季の第6戦エミリア・ロマーニャGP(5月21日決勝)で新たなコンセプトによる新マシンを投入する可能性が高いとされている。
かつてフェラーリやメルセデスの技術部門で中心的役割を果たしてきたアリソンがすでに改良版メルセデスマシンに取り組んでいるはずであり、その結果がどういう形で現れるのかにも注目していきたいところだ。