オーストラリアGPのスチュワードは、レースの暫定結果について、ハースが抗議をした件について却下した。
●【2023年F1チャンピオンシップ・ランキング】第3戦F1オーストラリアGP終了後
■レースの状況
57周目のリスタートのターン1で発生したフェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)とカルロス・サインツ(フェラーリ)の接触が起点となり、複数のクラッシュが発生。
スチュワードは直後に黄旗を出した後、赤旗を出してレースを中断したが、その時点でニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)は4番手につけていた。
しかし、スチュワードは最後のローリングスタートの順番を57周目のスタート時点と同じ順に戻した。これにより、ヒュルケンベルグは7番手に下がり、そのまま7位でフィニッシュすることになった。
■ハースの抗議とは「グリッドを決定する場所」
レース後、ハースは現地時間19時30分(日本時間18時30分)、暫定レース結果について、赤旗の場合は「全車両の位置を決定することが可能だった最後の地点で順位が決定される」とするスポーツ規則第57条3項に違反するとして抗議した。
その後、スチュワードに呼び出されたが、スチュワードはその抗議を棄却した。
ハースの抗議ポイントは以下の2つだ。
a.「スポーツ規則57.3条違反」
b.「全車両の位置は、直前のスターティンググリッドではなくSC2ライン(セーフティカー2の白線)で決定することが可能だった」
スポーツ規則57.3条には次のように書かれている。
「すべての場合において、順位は全車両の位置を決定することが可能であった最後の地点で決定される...」。
スチュワードはこれに則り、最後のリスタートの順位を決定しようと「全車両の位置を特定可能な場所」を探った。
その結果、その時点で入手可能なデータから、最も信頼できるポイントは「最終グリッド」だったとし、最終のスタート順を発表した。
■ハースの提案
ハースは「SC2ライン」でも判定可能だと提案し、その場合は最後のスタート順は違っていたはずだと提案した。
また、ハースは、マシンの相対的な位置を示す「GPSデータ」が、マシンの順番を決めるという目的としては「信頼性が低い」ことを認めた。
さらにハースは、最後のグリッドではなく、タイミングデータを使ってマシンの順番を決めるべきだったと主張した。
■抗議は却下、最終結果は変わらず
ハースの主張を検討した結果、「レースコントロールとレースディレクターの判断は、適切な裁量を行使し、その時点で入手可能な最も適切な情報を用いて、迅速に行われる必要があった」とした。
つまり、その時点で最も信頼できるポジションは混乱が起きる前のスターティンググリッドであり、レースディレクターは最良の判断をしたと認めるものだ。
「FIA代表とハースから話を聞いた結果、レースディレクターによって実際に適切に判断されていたと考え、抗議を却下した」。
この結果、ヒュルケンベルグの正式レース結果は7位となり、ドライバーズ選手権は7ポイントで9位、ハースのコンストラクター選手権は7ポイントで7位につけている。