ウィリアムズの新チーム代表に就任したジェームズ・ヴォウルスは、このチームがF1グリッドの最後列から抜け出すには時間がかかるだろうと認めた。
F1コンストラクターズタイトルを9回獲得した実績を持つイギリスの名門F1チームであるウィリアムズだが、近年は低迷が続いており、2022年もコンストラクターズ選手権で最下位に甘んじている。
ウィリアムズは、こうした状況から脱却すべく、シーズン後に2年間チーム代表を務めていたヨースト・カピートに替えて、メルセデスで長年にわたって戦略責任者を務めてきたヴォウルスを新たなチーム代表として招いている。
■2023年もウィリアムズは苦戦するだろうと元F1ドライバー
だが、元F1ドライバーであるスイス出身のマルク・スレールは、2023年もウィリアムズが現在の位置から抜け出すことは難しいだろうと考えている。
「ハースは今年もウィリアムズに勝つはずだ」
1980年代前半にアロウズやブラバムなどで活躍した71歳のスレールは、『f1-insider.com』にそう語ると次のように付け加えた。
「メルセデスがカスタマーチームとして期待以上のサポートを提供しない限りはね」
長年メルセデスに所属していたヴォウルスがウィリアムズを率いることになったことで、これはウィリアムズがメルセデスの“Bチーム”となることを意味するものだろうという噂がささやかれるようになったのは確かだ。
実際のところ、現在メルセデスエンジンを搭載しているウィリアムズとメルセデスの関係が今後どのような形で進展していくのかはわからない。
だが、いずれにしてもヴォウルスがイギリスのグローブにあるウィリアムズのファクトリーで仕事を始めたのは、ウィリアムズの2023年型マシンが設計されてからずっと後のことであり、ヴォウルスが加入したからといってそれでウィリアムズF1マシンのパフォーマンスが飛躍的に向上するようなことは考えられないだろう。
■簡単な短期的解決策など存在しないとヴォウルス
「突然コンマ5秒を稼ぐことができるようなひとつの単純な解決策があるわけではない。そんなものは存在しないよ」
43歳のイギリス出身エンジニアであるヴォウルスはそう語ると、次のように付け加えた。
「たくさんの細かいことが小さな改善につながるんだ」
「私は、2024年、2025年、そして2026年にもっといい成績を残せるような土台を作りたいと思っている」
「言い換えれば、私がやろうとしているのは、短期的なことに焦点を合わせるのではなく、今後に数年において我々をより強くするための全体的なアプローチだよ」
そう語ったヴォウルスだが、それは2023年シーズンのために何も手を打たないという意味ではないと次のように付け加えている。
「我々は改善できることはすべてやるつもりだよ。だが、主に目を向けるのは長期的なことだ」