F1のテストでよく見られる光景の1つに、「黄緑色の蛍光塗料」がある。これは「フロービズ」と呼ばれていて、「空気の流れ」を可視化するために塗られている。
■フロービズは空気の流れを見るために塗る塗料
このフロービズは複雑な形状をしたF1マシンの空力開発に重要な役割を担っている。
フロービズを塗ることで、パソコン上のシミュレーションデータや、風洞で得られた風の流れのデータと、実際にサーキットを実走した時の空気の流れの整合性をチェックできる。
フロービズは布ですぐに拭き取れるくらいの塗料で、F1がハイスピードで走ることで空気の流れた跡が残る。
一般車でも、雨の日のフロントガラスなどの雨粒が後方や左右に筋状に流れていくのを目で見る事ができるが、あれは透明のフロービズと言えるだろう。
チームは、新しいマシン、新しいパーツを導入すると、このフロービズを塗って、新パーツやその周辺の流れが想定通りかどうかを目で見て、写真に残し、シミュレーションデータと一致しているかを確認する。または実際のデータを入力し、シミュレーションに役立てたり、次の開発に繋げるために使う。
パソコンに入力済みの空気の流れのデータと、実際に走った時の空気の流れが同じであれば、パソコン上で開発したパーツも狙った通りの働きをしてくれるので、近年のように実走時間が短くなっても開発スピードを上げることができる。
■デメリットはライバルにも状況がバレてしまうこと
しかし、フロービズを塗れば空気の流れを他チームにも容易に知られてしまうため、マシンの空力性能を容易に分析されてしまうことにもなる。
よって、この空力データが実走と一致すればするほどフロービズを塗らなくてもよくなるため、ライバルにマシンの空力性能を容易に知られずに済む。
もちろん、近年の高性能カメラで撮影されてしまえば解析できてしまうが、フロービズが塗ってあるとライバルが追いつくための時間を与えてしまうことにもなる。