伝えられるところによれば、2022年シーズン限りでマクラーレンのシートを失ったダニエル・リカルドは、2023年に向けてハースのチーム代表であるギュンター・シュタイナーと話をしたものの、リカルドが要求した報酬額が高すぎたことでハースとしては引き下がらざるを得なかったようだ。
■今年はレッドブルのアンバサダー的役割を担うリカルド
2018年までレッドブルで7勝を上げる活躍を見せたオーストラリア出身ドライバーのリカルドは、2019年にルノーへ、さらに2021年にはマクラーレンに移籍。
だが、マクラーレンでのリカルドは2021年の第14戦イタリアGPで1勝を上げたものの、そのほかのレースでは自分より10歳年下のチームメートであるランド・ノリスに差をつけられることが多かった。そして、2022年にはその差がさらに拡大してしまったこともあり、ついに2022年シーズンをもって契約を解除されてしまった。
最終的に、リカルドは2023年にはブランドアンバサダーとして古巣レッドブルに戻ってきたが、実際のところ、リザーブドライバーとして全レースに帯同する予定はなく、3月5日に決勝が行われる今季の開幕戦バーレーンGPにも姿を見せることはないようだ。
伝えられるところによれば、リカルドがレッドブルの一員として今年最初にサーキットに姿を見せることになるのは、自分の故郷で行われる第3戦オーストラリアGP(4月2日決勝)になると考えられているようだ。
事実上、1年間はほぼ完全にF1レースから離れることになったリカルドだが、それは12シーズンをF1で過ごした後、F1への情熱を失ってしまったようだとの説もある。
■今年もシートを得るチャンスがなかったわけではないリカルド
とは言え、リカルドが2023年シーズンに向けてほかのチームへの移籍を全く考えていなかったわけでもないようだ。
実際のところ、ハースのシュタイナーは2023年に向けてリカルドをミック・シューマッハの後任候補として考えていたことを認めている。
どうしてリカルドとの話し合いが決裂したのかと尋ねられたシュタイナーは、昨年次のように答えていた。
「私にはわからない。本人に聞いてみてくれ」
一方のリカルドも2023年にウィリアムズのシートが「手に入る可能性がある」と示唆していたことがあった。しかし、最終的には自分の将来を「長期的」に考えた場合、1年F1から離れることがよいと判断したという。
■小規模チーム加入なら今年は大幅減収となっていた?
その一方で、本来リカルドと2023年までの契約を結んでいたマクラーレンは、契約解除に伴う違約金をリカルドに支払う義務があると伝えられている。だが、もしリカルドが2023年にほかのチームとフルタイムドライバー契約を結んだ場合には、その違約金が大幅に減少されるという条件になっていたと考えられている。
つまり、リカルドにとっては、大幅な報酬減を受け入れて小規模チームと契約するよりも、1年F1から離れた方がマクラーレンからより多くの金額を得ることができるということだ。
実際の数字はわからないものの、『racingnews365.com』などが報じていた2022年のF1ドライバーたちの推定情報によれば、リカルドはマクラーレンから1500万ドル(現在のレートで約20億円)を受け取っていたと考えられている。
恐らく、契約解除の違約金などを含めれば、今年リカルドは何もしなくてもマクラーレンからそれ相応の額を受け取ることになると考えられている。
■リカルドは1000万ドルを要求していたとハース
こうした中、まもなく公開される『Netflix(ネットフリックス)』のF1ドキュメンタリー番組『Drive to Survive(ドライブ・トゥ・サバイブ)』の最新版には、ハースのボスであるシュタイナーがケビン・マグヌッセンと話しながら、2023年に誰をチームメートにするのがいいのかを考えている様子が映し出されているようだ。
「リカルドじゃない?」
そう語ったマグヌッセンに対し、シュタイナーは次のように答えているという。
「我々にそんな余裕はないよ、ケビン。彼は1000万ドル(現在のレートで約13億5000万円)を要求しているんだ。最低でもね」。