F1最高責任者(CEO)のステファノ・ドメニカリが、2023年にドライバーたちに“猿ぐつわ”をはめるようなことはしないと主張した。
少し前に、F1統括団体であるFIA(国際自動車連盟)のモハメド・ベン・スレイエム会長が、ドライバーやチームたちの“政治的発言やジェスチャーを禁じる”という新たなガイドラインを発表したが、F1関係者の中にはこれに対して疑問を抱いている者も少なくないようだ。
■自分たちにも発言する権利はあるとアルボン
例えば、ウィリアムズのドライバーを務めるイギリス生まれのタイ人であるアレクサンダー・アルボンはこれについて次のように語っている。
「僕たちは『We Race As One』(F1が2020年から2021年にかけてレース前に行った人種差別反対運動のスローガン)の取り組みを支持していたけれど、今では彼らはそこから離れようとしているようだね」
「FIAが何を伝えようとしているのか、間違いなく明らかにする必要があるよ。なぜなら、当然ながら、僕たちもある程度は自由に発言できるようでなくてはならないからね」
■ロボットをマシンに乗せたいとは思わないとレッドブル首脳
一方、レッドブルのチーム代表を務めるクリスチャン・ホーナーは、F1が「政治的な道具」として使われるべきではないというベン・スレイエムの主張に一定の同意を示しつつ、「我々が、何も意見を持たないロボットたちがマシンに乗ることを望んでいないのは明らかだ」と語っている。
この問題はFIAとドライバー、そしてF1オーナーであるリバティ・メディアとの間に広がる溝を浮き彫りにしているが、こうした状況のもと、2020年からF1最高責任者のポジションにあるドメニカリは、『The Guardian(ガーディアン)』に次のように語った。
■FIAの意向を明確にしてもらうとドメニカリ
「F1は誰にも猿ぐつわをかますことはしないよ」
「誰もが話したいと思っている。だから、正しいやり方で言いたいことを言うための基盤があるのは良いことだ。我々はスポーツとしてその取り組み姿勢を変えるつもりはない」
ドメニカリは、この問題についてGPDA(F1ドライバーによる任意組織であるグランプリ・ドライバーズ・アソシエーション)と話し合い、FIAがスピーチに関する新たなスタンスを「明確にする」よう働きかけるとしている。
「我々はレギュレーションについて話しているのであり、そのレギュレーションを作るのはFIAだ」
そう語ったドメニカリは、次のように付け加えた。
「FIAは、特定の場所においてそれを行うことができないとされている点に関して明確にするだろうと信じているよ」。