1月9日付けでフェラーリF1チームの新代表に就任したフレデリック・バスールが、F1統括団体であるFIA(国際自動車連盟)に対して、バジェットキャップと呼ばれるF1チーム予算上限管理をもっと厳密に行うよう求めた。
■2021年のバジェットキャップに“軽微”な違反が認められたレッドブル
2021年からF1にバジェットキャップが導入され、初年度は1億4500万ドル(現在のレートで約192億円)がチーム予算上限値として定められていた。
そして、統括団体であるFIAは2022年シーズン中に2021年の各チームの会計をチェック。その結果、レッドブルは予算内に収まらず、上限を220万ドル(現在のレートで約2億9000万円)もオーバーしていたと判定されていた。
その結果を受け、2022年のコンストラクターズチャンピオンとなったレッドブルにはFIAから700万ドル(現在のレートで約9億3000万円)の罰金と風洞テスト時間の10パーセント削減というペナルティーが課されている。
レッドブルのチーム代表を務めるクリスチャン・ホーナーはこのペナルティーを“非情”な"ものだと表現している。
レッドブルによると、過剰に支出した金額はクルマの開発に使用されたのではなく、ケータリングなどに充てられた費用だったのだという。
■バジェットキャップ違反に“軽微”も“重大”もないとバスール
FIAは、2021年のレッドブルの予算超過は“軽微”なものだったとしている。しかし、F1チームたちはたとえ小さな違反であってもそれがコース上で大きなアドバンテージを得ることにつながる可能性があることを懸念している。
それに関しては、フェラーリという世界有数のスポーツカーメーカーであるフェラーリのワークスF1チームを率いることになったフランス出身のバスールも同じ考えのようだ。
バスールは、このバジェットキャップは、これまでF1に導入されたルールの中では最も評価するべきものだと認めつつ、その運用に関してはまだ微調整することが必要だと主張している。
実際のところ、昨年までアルファロメオのチーム代表を務めていたバスールは、フェラーリへの移籍が発表される前に『motorsport.com』に次のように語っていた。
「赤信号が出る前に、あるいは、もっと早い段階で行動を起こせるようなやり方を見つける必要があるよ」
「そして、おそらくもう少し厳格な決定をする必要があるだろうね。確かに、今回は初めてだったということはあるだろう。しかし、これからは、軽微だとか重大だとか、そんなことは忘れるべきだ。なぜなら、私にとっては200万も300万も、軽微ではなくものすごく大規模なものなんだ。開発にとってはね」
「我々はもっとかなり厳格に、もっと素早く行動しなければならないと私は思っているよ」
■2023年のバジェットキャップは実質205億円ほどに?
F1チームのバジェットキャップは毎年逓減していくことになっており、2021年は前述のように1億4500万ドルだったが、2022年にはこれが1億4000万ドル(現在のレートで約186億円)と定められていた。そして、2023年には新たに1億3500万ドル(現在のレートで約179億円)が適用されることになっている。
ただし、2023年のバジェットキャップに関しては、年間レース数の増加、世界的インフレによるコスト増加の調整、スプリントの増加などに対応して追加予算が認められることになっており、実質的にはトータル約1億5500万ドル(現在のレートで約205億円)ほどのバジェットキャップが設定されることになるようだ。