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【予選レポート:F1サンパウロGP】大波乱!初ポールポジションにマグヌッセンとハース歓喜!フェルスタッペンと赤旗の原因ラッセル続く。フェラーリは判断ミス。角田裕毅はQ1敗退19番手

2022年11月12日(土)5:34 am

2022年F1第21戦サンパウロGP(ブラジル、アウトドローモ・ホセ・カルロス・パーチェ)の金曜日、予選が行われている。今週末は土曜日にスプリントが開催されるため、予選は金曜日の午後に行われるスケジュールだ。

●【2022F1第21戦ブラジルGP】予選Q1-Q2-Q3のタイム、周回数

■予選Q1:インターミディエイトからドライタイヤへ

FP1(フリー走行1回目)の後に雨が降り、予選前に雨は上がったもののちょい濡れの路面で始まった。

18分間のQ1は、全20人のドライバーが溝の浅いインターミディエイト(緑)で走り始めたが、セッション中に路面が乾いて急激に状況が変化していく。

残り9分頃、まずピエール・ガスリー(アルファタウリ)がソフトタイヤに履き替えた。全チームがガスリーのタイムに注目する。他のドライバーは「まだドライタイヤに替えるには早いかも」という無線も飛び交うような判断が難しいコンディションだ。

残り6分、ソフトタイヤで走り続けるガスリーはなかなかタイムを上げられず16番手、このままだとQ1でノックアウトだ。

残り5分、路面も改善し、ガスリーのソフトタイヤに熱が入ってきたこともあり、一気にタイムシートのトップに躍り出た。他のチームも続々とソフトタイヤでコースインし、全ドライバーが一気にタイムを更新していく。

残り2分、難しい路面をうまく走ったフェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)がトップに立つと、ニコラス・ラティフィ(ウィリアムズ)がすぐにそれを塗り替える。

残り1分、フェラーリの2台はQ1ノックアウトゾーンだ。シャルル・ルクレール(フェラーリ)の前を走るのはペースが上がらない角田裕毅(アルファタウリ)で、焦るルクレールは無線で「ツノダ、カモーン!(頼むよ!)」、「ユウキ、※※※(放送禁止用語)冗談だろ、なにやってんだよ!」と憤る。カルロス・サインツ(フェラーリ)がタイムを更新すると、ルクレールも最後のラップでタイムアップに成功し、フェラーリは無事2台ともQ1を突破した。

Q1トップタイムはランド・ノリス(マクラーレン)、2番手はルイス・ハミルトン(メルセデス)、3番手はフェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)だった。

レッドブルと同じくHRC(ホンダ・レーシング)サポートのパワーユニットを搭載しているアルファタウリF1は、ピエール・ガスリーが9番手でQ2へ、角田裕毅は19番手でQ1敗退だった。

■予選Q2:ドライタイヤで走行も雨粒落ち始める

Q1はインターミディエイトタイヤ(緑)からドライタイヤに交換する、どんどん乾いていくコンディションだったが、この15分間のQ2はドライタイヤで走り切れたものの逆に雨粒が落ちてくるセッションとなった。

Q2開始前からいつ雨が降ってもおかしくない雲行きだったため、各ドライバーはセッション開始早々にコースへ出ていく。

残り10分頃、エステバン・オコン(アルピーヌ)が「ターン4と最終セクターでバイザーに雨が当たってる気がする」と伝えるが、雨雲レーダーを見ているチームは「雨雲は確認できない」と伝える。

残り9分、ジョージ・ラッセル(メルセデス)が「リスクはあるけれど、アタックした方がいいから新しいタイヤを用意しておいて」と伝え、タイヤ交換をした。

残り8分、ホームストレートのテレビカメラには雨粒が当たって画面が濡れているのが確認できるくらいだ。

残り7分、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)も「まちがいなく空が暗くなってる。霧雨がバイザーに当たってるよ」と報告する。

残り5分、サーキット上空はかなり暗くなっており、電光掲示板のフラッグがかなり明るく見える。各チームはピットウォールから手を伸ばして雨を確認する。カルロス・サインツ(フェラーリ)は「雨が強くなってきた」と報告する。そのサインツは10番手でQ2ノックアウトかQ3進出の瀬戸際だ。

残り3分、ベッテルがタイムアップし8番手に上がるとサインツが11番手に落ちる。ピエール・ガスリー(アルファタウリ)もタイムアップし10番手に上がる。サインツも2番手タイムを出して安全圏に入った。マグヌッセンが7番手タイムを出すと、ハースのガレージは拍手。

結局、Q2トップタイムはマックス・フェルスタッペン(レッドブル)、2番手はカルロス・サインツ(フェラーリ)、3番手はシャルル・ルクレール(フェラーリ)だった。

セルジオ・ペレス(レッドブル)は8番手でQ3進出、一方ピエール・ガスリーは12番手でQ2敗退となった。

■予選Q3:雨が強くなり大波乱!フェラーリは判断ミス

Q2はドライタイヤで走り切れたものの雨粒が落ちてくるセッションだったが、Q3はさらに雨が強くなっていった。

ポールポジションを決める12分間のQ3が始まる直前、雨雲レーダーではサーキット上空を雨雲が覆っているが、まだそれほど雨が強くなっている気配はない。

フェラーリは戦略を分けた。ルクレールだけがインターミディエイト(緑)でピットレーンに並ぶが、他のドライバーは全員がドライタイヤだ。サインツは「なんで待ってるの?」と急かし、ドライタイヤで出ていった。ルクレールは「インターは僕だけなの?」とフェラーリの判断を不安視する。まだ雨は降っていないため、当然の反応だろう。

インターミディエイトでアタックするルクレールは「全然雨降ってないよ」と伝えると、フェラーリのピットウォールは「ターン12では降ってる」と返す。その後「ボックス、ボックス、ボックスだ」とルクレールを呼び戻す。ルクレールは「ナイス、ワーク(いい仕事だ)」と皮肉を言うと、タイムを出す前にピットインしてドライタイヤへ交換。結果的にフェラーリの予想は外れてしまった。

ルクレールは「みんなスリックタイヤでタイム出したの?」と尋ねるとフェラーリは「イエス、出したよ」と答えると「美しいね」と怒りを滲ませながら皮肉たっぷりに伝えた。

3分過ぎ、ターン4のブレーキングで止まりきれなかったジョージ・ラッセル(メルセデス)が真っ直ぐコースアウトしてイエローフラッグが出された。ラッセルはグラベルにハマってしまいコースに戻ることができず、セッションは残り8分10秒で赤旗中断となった。

この赤旗時点で早めにタイムを出していたケビン・マグヌッセン(ハース)がトップ、2番手マックス・フェルスタッペン(レッドブル)、3番手ジョージ・ラッセル(メルセデス)という順だ。そして雨脚は強くなっていく。マグヌッセンの初ポールポジションが見えてきた。

トップタイムを出した直後のマグヌッセンは「今、何位?」と冷静に聞くと、ハースは「1位だよ」と返答。マグヌッセンは「ウソだろ?」「ウソじゃないよ」「ウソでしょ?人生でこんな気持ち初めてだ。まだお祝いしたらダメだよ」と興奮を必死に抑えているようだ。

その後も雨が強くなっている中でセッションは再開され、セルジオ・ペレス(レッドブル)だけがインターミディエイトでコースに出ていったが、タイムアップは不可能と判断しタイムを出さずにピットに戻った。多くのドライバーがマシンを降りていく。

■マグヌッセンとハース陣営は大喜び!

ハースのギュンター・シュタイナー代表が笑顔で誰かに電話している。オーナーのジーン・ハースに報告しているようだ。そしてピットウォールの小松礼雄チーフエンジニアも笑顔を見せ無線で話している。その相手は笑顔でマシンに待機しているマグヌッセンだろう。

残り2分を切ったところで、ハースのガレージ内では大喜び。今からコースインしてもアタックには間に合わないためだ。ここでようやくマシンを降りたマグヌッセンは、ノーズに乗ってヘイローを叩きながら喜びを爆発させた。いつもは鬼の形相で有名なギュンター・シュタイナー代表も見たことがないほどの笑顔を見せた。

マグヌッセンはヘルメットを被ったまま計量に向かい、付き添いのスタッフは「このまま計量して、インタビューを受けるんだ。スターだよ!」と笑う。

ピレリのプレゼンターで待っていたフェリペ・マッサが讃えるとマグヌッセンは「信じられないよ」と言いながら計量をし、F1初のポールポジションインタビューを受けた。

「言葉がないよ。チームは完璧なタイミングで出してくれて、いいラップをして、ポールだ、信じられない。(オーナーの)ジーン・ハース、ギュンター(・シュタイナー)、チーム全員に感謝している。1年いなくて、戻ってきて、ほんとうに素晴らしい。ありがとう」

朝起きた時は「(ポールポジションに)近いことすら予想していなかったよ」とマグヌッセン。

明日の24周のスプリントをポールポジションからスタートすることになるが、戦略は「とにかくマキシマムアタックだ、変わったことをしてみるよ」とマグヌッセンは笑顔で語った。

明日はFP2が日本時間24時30分から、24周のショートレース、スプリントは同4時30分からスタートする。

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