2022年F1第20戦メキシコ・シティGP(アウトドローモ・エルマノス・ロドリゲス)の決勝レースが71周で行われた。レース開始時は気温24度、路面温度46度、風速0.4m/s、湿度34%、天候は晴れというドライコンディションで始まった。
●【2022F1第20戦メキシコシティGP】決勝レースのタイム差、周回数、ピット回数
ポールポジションからスタートしたマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が3連勝。ミハエル・シューマッハの歴代年間最多勝記録を18年ぶりに塗り替える1シーズン14勝目を挙げた。
2位は今シーズン初優勝を狙っていたルイス・ハミルトン(メルセデス)、3位は母国の大声援を受けながら戦ったセルジオ・ペレス(レッドブル)だった。
■F1メキシコ・シティGPレースレポート
1周目
ターン1は、ポールポジションからソフトタイヤでスタートしたマックス・フェルスタッペン(レッドブル)がポジションを守った。ミディアムタイヤのルイス・ハミルトン(メルセデス)はピッタリと後ろにつくが徐々に離されていく。
ターン4で母国の大声援を受けるソフトタイヤのセルジオ・ペレス(レッドブル)がミディアムタイヤのジョージ・ラッセル(メルセデス)を抜いて3番手へ浮上。
9番手スタートのフェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)と13番手スタートでソフトタイヤの角田裕毅(アルファタウリ)はオープニングラップでポジションを2つ、最後尾スタートのランス・ストロール(アストンマーティン)は5つ上げることに成功した。
5周目
ここまで順位の動きはないが、後方18番手争いではアレクサンダー・アルボン(ウィリアムズ)がケビン・マグヌッセン(ハース)をパスした。
7周目
マグヌッセンがニコラス・ラティフィ(ウィリアムズ)に抜かれて最後尾に落ちる。
13周目
ターン4でイン側に飛び込んだピエール・ガスリー(アルファタウリ)がようやくランス・ストロール(アストンマーティン)を攻略した。しかし、ストロールは「押し出された」と訴える。
17周目
先ほどガスリーに対してストロールをコース外へ押し出したと判断され5秒ペナルティが出された。レース中のオーバーテイクとして判断されなかった。
21周目
レース開始時より気温が下がり、路面温度も40度を下回った。4番手のラッセルは、ソフトタイヤのレッドブル勢はもうすぐピットインするだろうと予測してる。
24周目
3番手ペレスがピットインしてソフトからミディアムタイヤに交換。左リアタイヤが外れず5秒のピットストップになってしまった。6番手でコースに復帰している。
25周目
ハミルトンは「僕のタイヤはOKだよ」と戦略で勝負を挑む。
フェルスタッペン「左フロントタイヤが終わっちゃったよ」とタイヤ交換を要求し、ピットイン。
26周目
フェルスタッペンは2.5秒でソフトからミディアムタイヤに交換し、3番手でコースに復帰。
これでメルセデスはワンツー体制となり、後半までミディアムタイヤで引っ張り、1ストップでソフトタイヤへ交換する戦略になるだろう。
27周目
ペレスがファステストラップを出すと、ホームストレートでシャルル・ルクレール(フェラーリ)をオーバーテイク!ターン1の大観衆から大声援が湧き起こる。
30周目
トップのハミルトンがピットイン!ミディアムタイヤからハードタイヤに交換した!
カルロス・サインツ(フェラーリ)はソフトタイヤからミディアムタイヤへ交換した。
ラッセルは「タイヤの感触は良い」と伝えた。引っ張ってソフトか、それともハミルトンが速ければ早めにハードタイヤに交換することも考えられる。
32周目
現在トップのラッセルは「最期にソフトに履き替えよう」と提案した。
33周目
アルピーヌはアロンソに「(ハミルトンの)ハードタイヤは立ち上がり良さそうだ」と伝えると、アロンソは「どんなタイヤでも速く走れるよ!」とマシンの好調さを伝えた。
34周目
エステバン・オコン(アルピーヌ)がミディアムタイヤからハードタイヤに交換。13番手でコースに復帰。
35周目
トップのラッセルがミディアムタイヤからハードタイヤに交換。2.7秒でピットアウトして2番手でコース復帰。ここでフェルスタッペンがトップに返り咲いた。
36周時点のトップ5の順位とタイム差
1 フェルスタッペン
2 ハミルトン+7.4秒
3 ペレス+1.4秒
4 ラッセル+7.4秒
5 アロンソ+14.8秒
38周目
ターン1で2番手ハミルトンにペレスが1秒前後まで詰め寄る。
41周目
アロンソがミディアムタイヤからハードタイヤに交換。8番手でコース復帰した。すぐ後ろにジョウ・グァンユ(アルファロメオ)が左右にマシンを振りながらオーバーテイクを試みるがアロンソは説妙なラインを走りながら抜かせない。
43周目
メルセデス勢はハミルトンもラッセルも「このハードタイヤよくないよ」と伝える。チームの今季初優勝が遠のいていく。
46周目
3番手ペレスはハミルトンに近づけず、約1.5秒遅れているため、レースタイヤマネジメントに切り替えているようだ。しかし、ペレスの7秒後方にはラッセルがいるため、タイム差は維持したい。
51周目
ターン6で11番手を争っていた角田裕毅とダニエル・リカルド(マクラーレン)が接触!イン側に突っ込んだリカルドの左フロントタイヤに、角田裕毅の右リヤタイヤが乗り上げ跳ね上がってコースアウト。ピットにスロー走行で戻ったものの、サイドポンツーンに穴が空いてしまっており、ピットでエンジンを切ってしまった。
55周目
先ほど角田裕毅と接触したリカルドに対して衝突の原因を作ったとして10秒タイムペナルティが出された。しかし角田裕毅がコースに復帰することはない。
62周目
そのリカルドはソフトタイヤを履いており、10秒ペナルティ分を稼ぎ出そうとペースアップして次々とオーバーテイク。エステバン・オコン(アルピーヌ)も抜いて7番手まで浮上した。
リカルドに抜かれたアロンソは「なんてシーズンだ、なんてシーズンなんだ」とつぶやく。アルピーヌとマクラーレンは11ポイント差で激しくコンストラクターズ4位を争っていることから、今季苦戦しているリカルドに抜かれたことに驚きを隠せないようだ。
しかし、先ほどの角田裕毅とのバトルで焦らなければ10秒ペナルティもなかったため、もったいないミスだった。
65周目【バーチャル・セーフティカー】
ターン1でイエローフラッグ。アロンソがまっすぐコースアウトさせてマシンを降りた。「エンジン、エンジン」。リプレイ映像を見るとアルピーヌから異音がして白煙と細かい破片が舞った。
ここでバーチャルセーフティカーが導入された。しかし、誰もピットインしない。
マシンを降りたアロンソは悔しそうだ。
66周目
ラッセルは「デブリを拾ってパンクしたと思う。ピットしたほうがいい?タイヤは終わってるよ」と訴えるが、メルセデスは「ステイアウトだ」とコースに残るように指示した。残り周回数はわずかだ。
67周目
ハミルトン「VSCでタイム差が広がった気がするんだけど」。たしかにVSC前は13秒差だったが、VSC導入中に16秒以上まで差が広がっていた。その後、2名の差は14秒程度まで縮まっている。
母国の英雄ペレスはペースアップ、2番手ハミルトンとは4秒差だ。まだファステストラップを記録しているのはペレスだ。
69周目
11番手争いのアレクサンダー・アルボン(ウィリアムズ)とピエール・ガスリー(アルファタウリ)が激しく争っていたが、ターン1でようやくパスした。
ガスリーは1.3秒先にいる10番手バルテリ・ボッタス(アルファロメオ)を照準を合わせてポイント獲得を狙う。
70周目
ラッセルがピットイン。3位のペレスを追うのは諦め、ファステストラップ狙いでソフトタイヤに替えた。
71周目:ファイナルラップ
危なげない走りを見せたフェルスタッペンが、ミハエル・シューマッハとセバスチャン・ベッテルの年間最多勝記録を破る今季14勝目を挙げた。
クリスチャン・ホーナー代表は「マックスおめでとう。我々が成し遂げたシーズンで最も多い勝利だ」と偉業を讃えた。
2位はハミルトン。トト・ヴォルフ代表は「正しいタイヤ選択ではなかったけど(レッドブルに)近づいている」とハミルトンとチームを賞賛した。
3位は母国の英雄ペレス。昨年に続き表彰台を獲得した。
レッドブルと同じくHRC(ホンダ・レーシング)サポートのパワーユニットを搭載しているアルファタウリF1は、角田裕毅がリタイア、ピエール・ガスリーが11位だった。
ファステストラップはラッセルが獲った。
ファン投票で選ぶドライバー・オブ・ザ・デイは、リカルドが選ばれた。角田裕毅との接触があったものの、素晴らしい走りを見せて7位でフィニッシュしている。
次戦は2週間後、ブラジルで行われるF1第21戦サンパウロGPだ。