レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表は、もしFIA(国際自動車連盟)が風洞を“焼き払え”と命じていたとしても、レッドブルのライバルの中には文句を言う者もいただろうと語った。
世界王者レッドブルとの合意のもとに交渉されてきた2021年の200万ドル(約2億9,500万円)の予算上限違反に対するFIAのペナルティがついに明らかになった。
レッドブルは700万ドル(約10億3,200万円)の罰金を支払い、さらに今後12カ月間、風洞やCFDの空力開発時間を10%削減されるという苦境に立たされている。
■無料で飲食したみんなが一役買った
すでに報じられているように、違反の最大の部分は「ケータリングサービス」だ。
「レッドブルはいつもおいしいものを無料で食べられるんだ」と、クリスチャン・ホーナー代表は主張した。
「つまり、過去12カ月間にミルトンキーンズで水やコーヒーを飲んだ人たち全員が、一線を越えることに一役買ったということだ」
ヘルムート・マルコ博士は『Sky Deutschland』にこう語った。
「残念ながら、我々の主張の多くは考慮されなかった」
「非常に急なルール変更があり、税額控除も適切に考慮されなかった。おそらくFIAは、ルールがまだ非常に新しいので、我々を見せしめにしたかったのだろう」
「(風洞10%短縮の)スポーツペナルティーは厳しいが、今後数年間はまだ競争力を発揮できると信じているギリギリのところだ」
■マクラーレン「レッドブルのおとぎ話は聞き飽きた」
マクラーレンのアンドレアス・ザイドル代表は、金曜日に行われたホーナーの記者会見を見なかったのは「気にしない」からだと主張しているが、『Sky Italia(スカイ イタリア)』にもこう語っている。
「レッドブルのおとぎ話はちょっと聞き飽きたよ」。
■メルセデス、フェラーリも非難
メルセデスのトト・ヴォルフ代表も同意見だ。
「我々にも社員食堂や病気休暇もある。理屈がおかしいし、結局、説明が余計なんだよ」。
「9チームが下で、1チームが上、そしてその1チームが今話題になっている」。
フェラーリのローラン・メキース副代表も同意見だ。
「2023年の予算削減がない以上、我々はペナルティに満足することはできない」
「だから、彼らはそれを別のところに使ってクルマを改善することができる。それでも、今はページをめくるしかないし、2022年の予算上限をそれほど長く待たなくてもいいように願っている」。
FIAの罰則は十分かとの質問に対し、トト・ヴォルフ代表は「評価するのは非常に難しい」と答えている。
「F1では10%でも多いくらいだし、太っ腹だ。そしてもうひとつは、彼らが風評被害を被ったということだ」
■レッドブル反撃「我々に謝罪すべきだ」
しかしホーナー代表は、風評被害の多くはレッドブルのライバルたち(中には表立ってチームを「不正行為」と非難する者もいる)が引き起こしたものだと考えている。
FIAは「(レッドブルが)悪意を持って、不正に、あるいは詐欺的に行動しようとしたとの非難や証拠はない」と発表している。
ホーナー代表はライバルに謝罪するどころか、レッドブルは、実は「ライバルたちが行ったいくつかの主張について、謝罪するべきだ」と語った。
「我々に起こったことは誰にでも起こりうることだ。我々は皆、このことから学ぶだろう」。
また、ペナルティが十分厳しくないという主張については、風洞時間の短縮が「我々に最も打撃を与えると考えられたから」選ばれたのだとホーナーは語った。
「FIAが我々の風洞を焼き払ったとしても、ライバルたちにとってはまだ十分ではないだろう」。
■メルセデスは経験済み。風洞時間短縮はじわじわ効いてくる
しかし、メルセデスのヴォルフ代表は、風洞時間短縮のスポーツペナルティーは本当にレッドブルを苦しめることになるだろうと考えている。
「風洞時間の短縮は、パフォーマンスの面で何かを犠牲にすることになると私は信じている。我々はこの1年半、タイトルを獲ったことで時間が減らされたし、それが積み重なっているんだ」。