今季のF1第17戦シンガポールGPが開催された先週末のマリーナ・ベイ・ストリート・サーキットで、オーストラリア出身のダニエル・リカルドがメルセデスのホスピタリティテントにサプライズ登場したことで、2023年にはメルセデスのリザーブドライバーとなる可能性が高いのではないかとの憶測を呼んでいる。
■今季限りでのマクラーレン離脱が確定したリカルド
2019年にレッドブルからルノーに移籍したリカルドは、2021年にはマクラーレンに移籍。しかし、その年のイタリアGPでは通算8勝目をあげる活躍を見せたものの、それ以外のレースでは自分よりも10歳年下のチームメート、ランド・ノリスにパフォーマンス面で大きく水をあけられてしまった。
そして、その傾向は2022年になっても変わらず、マクラーレンは本来2023年まで結ばれていたリカルドとの契約を解除し、リカルドと同じオーストラリア出身のオスカー・ピアストリを後任に据えることを決定している。
現時点では、ハース、ウィリアムズ、そしてリカルドが2020年まで所属していたルノーのワークスF1チームであるアルピーヌの3チームにまだ来季のドライバーが確定していないシートが残されている。
■今空いているシートに飛びつきたくはない
だが、これまでに伝えられたところによれば、リカルドは現在グリッド後方に位置しているチームへ加入することは望んでいないようだ。
リカルドは先週末のシンガポールにおいて、2023年シーズンに向けた展望に関して次のように語った。
「F1に参加したい気持ちは変わらないよ。もちろん、プランAはグリッドにつくことさ」
「だから、何も変わっていないけれど、最初に手にすることが可能なシートに飛びつきたいとは思っていないんだ」
「来年が終わるころには契約やその他の状況も変わるだろうということは僕にも分かっている。だから、辛抱し続けるとは言いたくないけど、オープンであり続けたいと思っているよ」
■リザーブは2023年に向けた「現実的選択肢」
リザーブドライバーになる可能性について質問されたリカルドは、次のように続けている。
「確かに、それが現実的だろうね、うん」
「それが2つの現実的な選択肢だよ。ほかの場所に行くわけじゃないんだ。僕はモータースポーツのほかの分野も好きだけど、そこが自分のいる場所だとは思っていないよ」
「そういうものに飛び込むと、F1への道が閉ざされてしまうような気がするんだ。なんだか、チェックアウトしたような感じになるだろうし、僕はそうじゃないよ」
そう語ったリカルドは、次のように付け加えた。
「だから、僕はF1だけに集中しているよ」
■大きな転機を迎えているリカルドのF1キャリア
実際のところ、33歳のリカルドがうわさされているように2023年にメルセデスとリザーブドライバー契約を結ぶことになれば、それは、現在37歳のルイス・ハミルトンがF1引退を決断したときにその後任としてメルセデスのフルタイムドライバーとなることを視野に入れてのことだろう。
だが、最近では通算7度F1チャンピオンとなった実績を持つハミルトンが「あと5年はできる」と主張したことも明らかとなっており、リカルドが描いた青写真のように状況が展開していくとは必ずしも限らない。
いずれにしても、リカルドのF1キャリアが大きな転機を迎えていることだけは確かだ。