今週末に3年ぶりに開催されるF1日本GP(9日決勝)には帯同しない計画だと伝えられていたメルセデスのトト・ヴォルフ(チーム代表)だが、その予定を変更して鈴鹿サーキットにその姿を見せることになるかもしれない。
■鈴鹿でのF1日本GPには行かないとしていたトト・ヴォルフ
今季のF1第17戦が開催された先週末のシンガポールにおいて、ヴォルフは日本には行かないつもりだと語り、それは年間レース数が非常に増えてしまったことに関係するものだと記者団に対して次のように語っていた。
「私は今後いくつかのレースには行かないつもりだ。全てのチームがそれを検討する必要があるよ」
実際のところ、日本行きをキャンセルすることにしたヴォルフの決断に対しては特に批判もなかったようだ。それは、ほとんどのF1関係者が、来年には年間24戦に膨れ上がるF1カレンダーは「持続不可能」だと主張しているヴォルフの意見に同意しているためかもしれない。
■F1には年間24戦もいらないと元F1ドライバー
ドイツ出身の元F1ドライバーであるクリスチャン・ダナーは、今週オーストリアの『Servus TV(セアヴスTV)』に次のように語っている。
「我々には24レースも必要ないよ」
「2週間ごとにレースがあるときは、それを楽しみにしていたものだ。それが、今では、『またレースがあるのか? 本当に彼らはまたレースをするのか?』って感じになってしまっている」
「誰がそれを望んでいるのかと言えば、それはもちろん権利者だよ。全てのイベントは彼らにとって現金と同じだからね」
■ヴォルフが鈴鹿に姿を見せる可能性も?
ともあれ、最新の情報によれば、ヴォルフも当初の予定を変更して、日本に飛んでくる可能性が出てきているようだ。
それは、現在レッドブルの予算上限違反疑惑が大きな話題となっているが、統括団体であるFIA(国際自動車連盟)が5日(水)に、2021年シーズンにF1チームたちがバジェットキャップ(チーム予算上限)を遵守していたかどうかの証明書を発行することになっているためだと考えられている。
■バジェットキャップ問題が新たなスキャンダルとなる可能性も
FIAが発行する証明書がすぐに公表されることはないと考えられているが、最新のリーク情報ではすでにレッドブルの違反に関しては軽微なものと判断されることが示唆されている。
かつてレッドブルなどで活躍した元F1ドライバーのマーク・ウェバーは、この件に関して『Channel 4(チャンネル4)』に次のように語っている。
「(2021年の)アブダビが再び姿を現すようなものだ」
「昨年は何が問題だったのか知っているだろう? だから、反対派のチームたちは、ここに何かあるかもしれないと躍起になって取り組んでいるんだ」
そう語ったウェバーは、レッドブルのチーム代表を務めるクリスチャン・ホーナーの名前をあげながら、次のように付け加えた。
「クリスチャンは、それは見当違いだと言っているわけだから、そのコメントが正しいかどうかを確認するのはFIAの責任だよ」
■成り行き次第では法的措置も辞さないとレッドブル首脳
しかし、F1関係者の中には、レッドブルに対して2021年のF1選手権からの失格を含む厳しい罰則が科される可能性もまだ残っていると主張している者もいる。
「そうなればとてつもないスキャンダルになるだろう」
ドイツの『Bild(ビルト)』紙にそう語ったレッドブルのヘルムート・マルコ(モータースポーツアドバイザー)は次のように付け加えている。
「必要であれば、我々は法的措置を取ることになるだろう」
■レッドブルの無実を信じるフェルスタッペン
一方、今週末にホンダの本拠地で2年連続のドライバーズタイトルを獲得するチャンスがあるマックス・フェルスタッペン(レッドブル)は、そうしたバジェットキャップがらみのうわさは気にしないようにしているようだ。
「僕はうわさには耳を貸さないよ」
25歳となったフェルスタッペンは、『Sky Italia(スカイ・イタリア)』にそう語ると、次のように付け加えた。
「僕はチームが正しいことをしたと確信しているよ」