ベルギー、オランダ、イタリアと続いた3連戦を終えたF1はヨーロッパを離れ、次は10月2日(日)に決勝が行われるシンガポールへと向かうことになる。
だが、その前に、F1関係者やファンの視線はブダペストのハンガロリンクに向けられることになりそうだ。
■アルピーヌがハンガロリンクで複数のドライバーをテスト
それは、ルノーのワークスF1チームであるアルピーヌが、来季アストンマーティンへの移籍を決めたフェルナンド・アロンソの後任候補ドライバーの評価を行うために、シンガポールGPを迎える前にハンガロリンクで2021年型F1マシンでのプライベートテストを行う予定となっているためだ。
現時点でそのテストに参加することになると言われているのは、レッドブルが2023年にセカンドチームのアルファタウリでピエール・ガスリーの後任として起用したいと考えているインディカードライバーのコルトン・ハータ、さらに先週末のイタリアGPでウィリアムズからF1デビューを飾り、素晴らしいパフォーマンスを見せたオランダ人ドライバーのニック・デ・フリース、現在F2で戦っているオーストラリア人ドライバーのジャック・ドゥーハン、そしてミック・シューマッハ(ハース)だ。
少し前には、現在アストンマーティンでリザーブドライバーを務めているニコ・ヒュルケンベルグも参加するという情報もあった。だが、どうやらそれは的外れだったようだ。
■ヒュルケンベルグ起用がうわさされるハース
そのヒュルケンベルグについては、2023年にシューマッハに代わってハースから4年ぶりにフルタイムドライバーとして復帰する可能性もあると言われている。
ハースのチーム代表を務めるギュンター・シュタイナーは、35歳のドイツ人ドライバーであるニコ・ヒュルケンベルグに関して次のように語っている。
「私は、彼が候補になると考えている。なぜなら、彼はスーパーライセンスを持っているし、以前F1で走っていたこともあり、経験を持っているからね」
■シューマッハとフェラーリの決別はほぼ確実か
一方、今年ハースで2年目のF1シーズンを送っている23歳のシューマッハは、フェラーリのドライバー育成プログラムである“アカデミー”の後ろ盾を失ったと考えられている。そして、フェラーリは今後ロシア出身ドライバーである22歳のロベルト・シュワルツマンのサポートに移行していくようだ。
「ロベルトは素晴らしいドライバーだよ」
そう語ったフェラーリのチーム代表を務めるマッティア・ビノットは次のように続けた。
「彼は非常に速いと私は思っている。とりわけ、F1マシンではね」
「だから、現時点で彼にシートがないのは残念だよ」
ドイツ出身の元F1ドライバーであるティモ・グロックは、ビノットがもはやシューマッハのサポートから手を引きたいと考えているのは間違いないと考えている。
「私は彼がこれまでミックを信じていたとは思わないし、今は彼の側からの関与がほとんどないのは、今年いっぱいでその協力関係が終了することを示唆しているよ」
「問題は、ミックがその後どこに行きつくかということだ」
■シューマッハにとって大きな意味を持つアルピーヌのテスト
その、シューマッハにとっては、ハンガロリンクでのアルピーヌのプライベートテストが2023年のシート確保に向けて大きな意味を持つことになりそうだ。
アルピーヌのテストに参加するドライバーのうちハータに関しては、アルピーヌが直接自分たちのドライバー候補として評価するためではないと考えられている。
アルピーヌでは2023年に現在アルファタウリに所属しているフランス人ドライバーのピエール・ガスリーの獲得を目指しているものの、それが実現するのはハータがF1スーパーライセンスを取得することができ、2023年にガスリーの後任としてアルファタウリで走ることが可能になった場合のみだと考えられている。
そのため、アルピーヌが自分たちのテストにハータを参加させ、そこでF1マシンでの走行実績を積ませることでF1スーパーライセンス取得の後押しをすることになったものだ。
レッドブル首脳のヘルムート・マルコ(モータースポーツアドバイザー)は、これに関して次のように語った。
「コルトンがハンガリーにおいてアルピーヌでのテストを完了することは保証されている」
「その後、我々は決断を下すことになる」
こうしたことから、シューマッハにとってアルピーヌでのテストで直接的なライバルとなるのはデ・フリースやドゥーハンということになりそうだ。
そして、レッドブルが強力に後押しをしているものの、ハータへのF1スーパーライセンス発給をFIA(F1統括団体の国際自動車連盟)が認める可能性は小さいと考えられていることから、ガスリーのアルピーヌ移籍が実現するかどうかは非常に不透明だ。
つまり、シューマッハのテストでのパフォーマンス次第では、アルピーヌ移籍の道が開けるチャンスもありそうだ。