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ガスリーとハータの件はすでに「関係者全員が合意」とレッドブルF1幹部。“プランB”にアルピーヌとマクラーレンが協力? 鍵はハータのスーパーライセンス問題

2022年09月14日(水)19:50 pm

レッドブルは、現在インディカーで活躍しているコルトン・ハータを2023年にセカンドチームであるアルファタウリで走らせたいという希望を捨てていないようだ。

■ガスリーとハータの件はすでに関係者全員が合意

伝えられるところによれば、アルピーヌは、ピエール・ガスリーがアルファタウリとの契約を解除して来年はエステバン・オコンのチームメートとなることでレッドブルとの間ですでに合意に達しているという。もしこれが実現すれば、フランスを代表する自動車会社ルノーのワークスF1チームは2人のフランス人ドライバーを擁して戦うことになる。

また、現在アンドレッティ・オートスポーツに所属している22歳のハータは条件付きながら、もしもF1に参戦できることになれば契約を解除できることも決まっているという。

レッドブルとアルファタウリのドライバープログラム責任者として知られるヘルムート・マルコ(モータースポーツアドバイザー)は次のように語り、そうしたうわさは事実だと認めている。

「驚くべきことに、すべての関係者とチームが合意を見出したんだ」

■ハータのF1スーパーライセンス発給はかなり困難

しかし、レッドブルとアルピーヌのもくろみが実現されるためには、ハータがF1統括団体であるFIA(国際自動車連盟)からF1スーパーライセンス取得の許可を得られることが必須条件となっている。

F1スーパーライセンスの発給を受けるには、スーパーライセンスポイント40ポイントを獲得していることが条件となっている。だが、ハータは現時点では32ポイントしか持っていない。それゆえ、レッドブルとしてはFIAに特例措置を認めてもらう必要があるのだ。

だが、ここまでの報道によれば、F1もFIAも、ハータに特例的処遇を認める考えはないようだ。仮にFIAが特例を認める方針に変わったとしても、最終的にはF1チームが全会一致でそれを認めなければ、いずれにしてもハータの2023年のF1デビューは実現できないことになる。

アルファタウリのチーム代表を務めるフランツ・トストは、この問題に関して次のように語っている。

「もしコルトン・ハータでなければ、ピエール・ガスリーは残留するだろうし何も変わらないと思うよ」

■レッドブルとアルピーヌの“プランB”にマクラーレンも協力?

こうした中、レッドブルとアルピーヌは“プランB”に切り替えたようだ。そして、それにはマクラーレンも協力することになると考えられている。

レッドブルとアルピーヌは、ハータに一連のF1テストを行わせ、さらに今季終盤のF1レースで金曜フリー走行に出走させることで、FIAに彼がF1に十分通用することを納得させ、特例的なスーパーライセンス発給を実現させようともくろんでいるようだ。

フランスの『L’Equipe(レキップ)』によると、ハータとガスリーの動きを促進するために、アルピーヌがハータにハンガロリンクで2021年型F1マシンでのテスト機会を与えることになったという。

また、同じくフランスの『Auto Hebdo(オト・エブド)』によれば、アルピーヌのハンガロリンクでのテストには先週末のF1イタリアGPでセンセーショナルなF1デビューを飾ったニック・デ・フリースのほか、2023年のレースシート候補者に名前があげられているジャック・ドゥーハン(F2ドライバー)と、現在アストンマーティンのリザーブドライバーを務めているニコ・ヒュルケンベルグらも参加する予定だという。

さらに、ハータに関しては近日中にスペインのバルセロナでマクラーレンF1マシンでのテストも計画されているという。そして、マクラーレンでは今シーズン終盤の金曜フリー走行にハータを2回ほど起用する可能性もあると言われている。

マクラーレンがレッドブルに協力するのは、2020年にマクラーレンのインディカーチームである『アロー・マクラーレンSP』がパトリシオ・オワードと契約を結ぶ際にレッドブルが自分たちのドライバープログラムメンバーであったオワードとの契約を解除したことへのお返しではないかと考えられているようだ。

■まずは金曜フリー走行に出走するための『フライデー・スーパーライセンス』取得へ

現在のルールでは、25ポイント以上のスーパーライセンスポイントを有しているドライバーがF1マシンで2日間のうちに300キロメートルを超える走行を行えば、『フライデー・スーパーライセンス』が取得できることになっている。

そのライセンスを取得したドライバーは、F1公式セッションである金曜フリー走行に出走することが可能となる。そして、実際に金曜フリー走行に出走して100キロメートル以上の走行を行えば、スーパーライセンスポイント1点を獲得できることになっている。

実際のところ、仮にこの計画がうまく進んだとしてもハータがF1出走に必要な40ポイントを確保できるわけではないのだが、レッドブルとアルピーヌはそれでなんとかFIAやほかのチームたちを納得させたいと考えているようだ。

コルトン・ハータの父であり、自身も元インディカードライバーであったブライアン・ハータは、実際にマクラーレンとの間でそういう計画が進められているのかと質問されると次のように答えている。

「それはザック(ブラウン/マクラーレン・レーシングCEO)に聞くべき質問だよ」

「私の知る限りでは、まだ決まったわけではないよ」

■今月中には答えが出るだろうとマルコ

マルコも、この計画がうまく進み、2023年にハータがアルファタウリでF1デビューできるかどうかはまだわからないと認め、次のように語っている。

「まだ答えは出ていないよ。遅くとも今月末には決まるだろうし、我々は希望を持ち続けている」

一方、アルピーヌも10月2日(日)に決勝が予定されている次戦F1シンガポールGPまでに、2023年にフェルナンド・アロンソの後任ドライバーを発表したいと考えているという。

恐らく、マルコはF1やFIAに対してロビー活動を行い、ハータのテストやフリー走行出走計画を説明することで、なんとか特例適用の可能性を手応えとして得たいと考えているのだろう。

もしも、FIAが40ポイントに満たなければ一切の例外なくスーパーライセンス発給を認めることはないという姿勢を崩さなければ、現在計画されているハータのF1テストや金曜フリー走行出走がお流れとなる可能性もありそうだ。

この問題が今後どのような展開を見せていくのか、あと半月ほどすれば、その方向性が見えてきそうだ。

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