NEXT...F1開催スケジュール

セーフティカー先導で終わったF1イタリアGP決勝に賛否両論 ルールの再考も必要に?

2022年09月12日(月)22:01 pm

先週末にモンツァ・サーキットで開催された今季のF1第16戦イタリアGP決勝はセーフティカーに先導された状態でドライバーたちがチェッカーフラッグを受けるという幕切れとなってしまった。

●【2022F1第16戦イタリアGP】決勝レースのタイム差、周回数、ピット回数

だが、そのセーフティカー導入によってフェラーリに有利な展開となると期待していたファンたちにとっては、レース終盤に一切のバトルが行われることなく、ランキングトップに立っているマックス・フェルスタッペン(レッドブル)がそのままトップでフィニッシュしたことに大きな不満を感じたのは確かだ。

■モンツァでティフォシからブーイングを浴びせられたフェルスタッペン

第12戦フランスGP以降負け知らずの5連勝を飾り、今季の通算勝ち星を11に伸ばしたフェルスタッペンが表彰台に姿を現したとき、モンツァ・サーキットでは大きなブーイングが起きていた。

「僕にとってはあまり素晴らしい雰囲気じゃなかったよ」

そう認めた24歳のオランダ人ドライバーは次のように付け加えた。

「でも、しかたないよ」

■ブーイングはフェルスタッペンよりもFIAに向けられたものだった?

しかし、レッドブル首脳のヘルムート・マルコ(モータースポーツアドバイザー)は、モンツァのティフォシ(熱狂的フェラーリファン)たちが行ったブーイングは、実際にはフェルスタッペンではなく、セーフティカー先導でレースを終わらせたFIA(国際自動車連盟)のレース運営に向けられていたのだと考えている。

「ブーイングをしたファンは正直に振る舞っていたんだ」

オーストリア出身の79歳となるマルコはそう語ると、次のように続けた。

「彼らは憤慨していたんだ。レース運営に満足できていなかったからね。そして、彼らは正しかったよ」

「(レースが再開されれば)レッドブルにとっては不利だったかもしれない。だが、このスポーツは一番前にいなければならないんだ」

■フェラーリのボスもFIAを批判

フェラーリのチーム代表を務めるマッティア・ビノットもマルコの意見に同意し、「ティフォシの振る舞いは、むしろFIAに対するものだったと思うよ」と語っている。

そして、ビノットは、レース終盤にメカニカルトラブルでダニエル・リカルド(マクラーレン)がコース脇にマシンを止めてしまったとき、そのままセーフティカーの後ろでレースを終わらせてしまったFIAのレース運営を痛烈に批判している。

「FIAは寝ていたのがばれてしまったね。彼らにはまだこのような状況に対処する準備ができていないんじゃないかな」

「FIAには、今日異なる動きをするための時間がたくさんあったと思う」

そう語ったビノットは、次のように付け加えている。

「アブダビの後、我々はどうやって改善するかを長い間話し合った。目指すのは安全な方法でできるだけ早くレースを再開することだからね」

■FIAは昨年のアブダビでだけルールを逸脱したとハミルトン

ビノットが言及した“アブダビ”とは、もちろん2021年のF1最終戦アブダビGPのことだ。今年のイタリアGP決勝で起こったことは、大論争を呼び、最終的に当時F1レースディレクターを務めていたマイケル・マシが更迭された昨年のアブダビでの状況とは基本的に逆のものだった。

「あのとき、彼らが従うべきルールだったのはこれだよ。そうだろう?」

昨年の最終戦でマシがとった例外的レース運営によってほぼ手中に収めていた通算8回目のF1ドライバーズタイトルを最終ラップに失うことになったと考えているルイス・ハミルトン(メルセデス)はイタリアGP決勝後にそう語ると、次のように付け加えた。

「このスポーツの歴史の中で、彼らがルール通りにやらなかったのはあの一度だけなんだ」

■マシは今年のイタリアGPのような終わり方を避けたかっただけ

しかし、F1関係者の中にはマシのアブダビでのレース運営を擁護する者もいる。現在オランダGPの運営責任者でもある元F1ドライバーのヤン・ラマースは、昨年の最終戦でオーストラリア出身のマシが行ったのは、今年のイタリアGP決勝のように期待外れの終わり方となるのを避けようとしただけだったのだと主張している。

「これはまさにマイケル・マシがアブダビで防ごうとしたことだったんだ。そして、彼はかなりうまくやったよ」

『NOS(オランダ放送協会)』にそう語ったラマースは、次のように付け加えた。

「もちろん、あのときも全員が喜んでいたわけではなかったがね」

■FIAは「手順に則っただけだ」と反論

一方、FIAはモンツァでのレース後に起きた批判的意見に対して、コース脇に止まったリカルドのマシンは「赤旗が必要なほど重大なものではなかった」と主張し、次のように続けている。

「レース中のセーフティカー期間のタイミングは、この手順には関係ない」

「リカバリープロセス中の安全が我々にとって唯一の優先事項だ」

■ルールを見直す必要があるとメルセデスのボス

メルセデスのボスであるトト・ヴォルフは、先週末のモンツァではルールが正しく守られていたと認めており、もしも今後セーフティカー先導でレースを終えることを望まないのであれば、ルールそのものをもう一度見直す必要があるだろうと次のように語っている。

「これに関しては、『我々はどうしてもレースをグリーンフラッグのもとで終わらせたいのか?』という質問から始めるべきだよ」

ともあれ、イタリアGPの結果はいずれにしてもくつがえることはない。フェルスタッペンとモンツァでのレースを2位で終えたシャルル・ルクレール(フェラーリ)との差は116ポイントにまで開いてしまい、フェルスタッペンの2年連続でのドライバーズタイトル獲得決定がいよいよ秒読み段階に入ってきているのは間違いない。

前後の記事
最新ニュースをもっと見る  >
TopNewsの最新ニュースが読めるよ!
facebookフォロー Twitterフォロー RSSでチェック