ドイツ出身の元F1ドライバーであるラルフ・シューマッハは、今年のフェラーリには速いF1マシンがあるものの、ミスが多すぎることで結果がついてきていないのだと考えている。
●【2022F1第15戦オランダGP】決勝レースのタイム差、周回数、ピット回数
■109ポイントに開いたフェルスタッペンとルクレールの差
2022年F1シーズン序盤こそランキングトップに位置し、今年のチャンピオン候補筆頭だと言われていたフェラーリのシャルル・ルクレールだが、先週末に行われた第15戦オランダGPでもマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が勝利したことで、その差は109ポイントにまで開いてしまった。
実際のところ、残りはあと7レースとなってしまっており、現時点でのフェルスタッペンの強さやレッドブルF1マシンの信頼性の高さを考えれば、その差を逆転するのはほぼ不可能だと言ってもいいだろう。
仮に、残りの7レース全てでルクレールがファステストポイントも加えて完全勝利を遂げたとしても、フェルスタッペンは残りのレースをいずれも4位以内で終えればそれで2年連続でのドライバーズタイトル獲得が決定してしまうのだ。
■今年のF1タイトルはもう「厳しい」とルクレール
オランダGP決勝を終えたルクレールは、4日(日)の夜にザントフォールト・サーキットで次のように語った。
「レッドブルが現時点では最速のマシンだよ。とりわけ、レースペースに関してはね」
「それに、メルセデスもレースペースのパフォーマンスが向上しているみたいだ。だから、今年のタイトルは厳しそうだよ」
そのルクレールとフェラーリは、今週末には自分たちのホームレースである第16戦イタリアGP(11日決勝)に臨むことになる。だが、その舞台となるモンツァ・サーキットは、今年のフェラーリF1マシンに合うサーキットではないと考えられている。
「理論上では、残念ながら僕らにとって最高のサーキットではないよ」
そう語ったルクレールは、次のように付け加えた。
「僕は、理論上のパフォーマンスは、ここよりもさらに少し難しくなると思う」
■今のフェラーリには以前のような速さがないとルクレール
ルクレールはさらに、最近のレースでは自分たちのレースペースが落ちてきていることを認めており、「シーズン序盤にあったスピードが失われているみたいだし、現時点ではそれを取り戻すことが一番の目標だよ」とコメントしている。
戦前には不利だと考えられていたオランダのザントフォールト・サーキットでフランスGP以降4連勝を飾り、今季の通算勝ち星を10勝に伸ばしたフェルスタッペンも、レース後に「フェラーリがもう少し速いと思っていた」と認めている。
そして、フェラーリのチーム代表を務めるマッティア・ビノットもそれを否定していない。
「ハンガリー(第13戦)でも、スパ(第14戦)でも、ここでも、我々には十分な速さがなかった」
「速さが足りなければ、最高の結果を得るために戦うことはできないよ」
『Viaplay(ヴィアプレイ)』にそう語ったビノットは、その原因が何なのかははっきりしていないと示唆するように次のように付け加えている。
「スピードなのか、セットアップなのか、あるいはドライバーの自信なのだろうか?」
■フェラーリは何も変わっていないとラルフ・シューマッハ
実際のところ、今年のフェラーリF1マシンには速さはあるものの、ここまでのところその信頼性や、チームやドライバーによるミスによってそれをうまく生かすことができていないという側面もある。
そして、ラルフ・シューマッハは、ビノットがこの問題に適切に対応しているかどうかは疑問だとしている。
「ピットストップでタイヤが見当たらないとか、ホイールガンが邪魔をしたとか、それだけではないんだ。もはや私には理解できないよ」
「たとえ素晴らしいチームであっても、あまりにもミスが多すぎるし、それでは結果はついてこないよ」
『Sky Deutschland(スカイ・ドイチュランド)』にそう語ったラルフ・シューマッハは次のように付け加えた。
「マラネロ(フェラーリ本部)では何も変わっていないようだね」。