先週末にスパ・フランコルシャンで行われた2022年F1第14戦ベルギーGPでは、2021年のF1チャンピオンであるマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が圧倒的な強さを発揮してみせた。
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■ベルギーGPは「予想以上に楽だった」とマルコ
このレースで今季9勝目をあげたオランダ出身ドライバーのフェルスタッペンは、残り8戦となった時点で、ランキング2番手に上昇したチームメートのセルジオ・ペレスに93ポイント、ランキング3番手に下がったフェラーリのシャルル・ルクレールに98ポイントもの差をつけて独走状態に入っている。
実際のところ、ベルギーGPではグラウンドエフェクト効果を持つ2022年のF1マシンが引き起こすポーポイズ現象を抑えるための技術指令が初めて導入されており、これによってレッドブル、フェラーリ、メルセデスのパフォーマンスがかなり接近してくるのではないかとも考えられていた。
しかし、そうした予想が大きく覆される結果となったベルギーGP決勝を振り返りながら、レッドブルのヘルムート・マルコ(モータースポーツアドバイザー)は、テレビ局『Sky Deutschland(スカイ・ドイチュランド)』に次のように語った。
「予想していたよりは楽だったよ」
「正直なところ、それほど自信があったわけではないんだ。しかし、最初の数周を終えると、マックスがほかのドライバーたちよりも明らかに速いことがわかったんだ」
「マックスが現在いともたやすくこうしたパフォーマンスを発揮しているのは信じ難いほどだ。それは彼の自信と、マックス・フェルスタッペンというドライバーの驚くべきドライビングレベルが組み合わさったことによるものだよ」
「我々のエンジンには信頼性があるし、それを維持することができる。現時点ではすべてうまくいっているよ」
■ペレスが改善すればランキング1-2独占も可能
スパ・フランコルシャンでフェルスタッペンが圧倒的なパフォーマンスを示したことから、レッドブルはうわさされている軽量シャシーをそこで投入していたのではないかとのうわさもささやかれている。
そうした見方をしている者たちが根拠としているのは、チームメートのペレスも明らかにフェルスタッペンに対して後れをとっていたことだ。つまり、ベルギーではフェルスタッペンにだけ新たな改良シャシーが与えられていたのではないかというわけだ。
しかし、マルコはそうしたうわさを否定するとともに、ペレスの方にもっと改善が必要なのだとしている。
「彼(ペレス)も間違いなく改善したよ。だが、最初のプラクティスセッションのときから、彼は完全にそこにいなければならないんだ。そうすれば、何度か1-2フィニッシュを達成できるんじゃないかな」
「そうすれば、我々が初めてF1選手権を1位と2位で終えることになる。それが我々の次の目標だよ」
このマルコのコメントは、すでにフェルスタッペンが2年連続でF1チャンピオンとなるのは確実だと考えていることを示唆するものだ。実際のところ、フェルスタッペンが現時点で100ポイント近い差をつけているルクレールに逆転される可能性は極めて小さいだろう。
そうなると、ルクレールとフェラーリが今後の現実的な目標とすることになるのは、ドライバーズランキング2位を死守することかもしれない。
■不安を抱えたままでオランダGPに臨むルクレール
失望とともにベルギーを去って、今週末に第15戦オランダGP(9月4日決勝)が開催されるザントフォールト・サーキットに向かうことになったルクレールは、ベルギーGPでレッドブルが示したパフォーマンスを振り返りながら次のように語った。
「彼らはダウンフォースがないように見えるのに、コーナーでは僕らと同じか、僕らよりも少し速いくらいだったよ」
「それが僕たちにとってかなり心配なことなんだ。今のところ僕たちはその答えを得られていないからね」
今週末のオランダGPの舞台となるザントフォールトはスパ・フランコルシャンとはかなりサーキット特性が異なるだけに、またレッドブルが圧勝できるという保証はない。だが、このレースはフェルスタッペンにとってのホームレースであり、36年ぶりに復活開催された昨年のレースもフェルスタッペンの圧勝に終わっている。
もしも今週末のオランダで再びフェラーリが敗れることがあれば、鈴鹿サーキットで3年ぶりに行われる日本GP(第18戦/10月9日決勝)でフェルスタッペンの2年連続でのタイトル獲得が決まる可能性がさらに大きくなりそうだ。