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「レッドブルの利点」とホンダを評価するマクラーレン技術責任者ジェームス・キー、2022年のF1をリードする2強の強さを検証

2022年08月19日(金)22:37 pm

昨年までとは大きく異なる新たな技術レギュレーションが導入された2022年F1シーズンだが、それに最もうまく対応できているのはレッドブルとフェラーリだ。

■今年もレッドブル、フェラーリ、メルセデスによる3強時代は変わらず

レッドブルは、現在ドライバーズランキングとコンストラクターズランキングの両方でトップに立っており、フェラーリもポイントこそレッドブルに差をつけられているものの、純粋なF1マシンのパフォーマンスに関して言えば全10チーム中最強だと言われている。

一方、2014年から2021年まで8年連続でコンストラクターズチャンピオンに輝いたメルセデスは、今シーズンには出遅れてしまったものの、最近のレースではレッドブルやフェラーリに近いパフォーマンスを発揮できるところまで復調してきている。

■ここまでの明暗をわけたのはグラウンドエフェクトへの対応

今年導入された新たな技術レギュレーションは、コース上でこれまでよりも接戦が可能となり、よりエキサイティングなレースとすることが目指されており、そのためにこれまでの課題となっていたマシンが発生する乱気流を減らすための技術変更が行われている。

そして、これまで乱気流を発生させる原因となっていたウイングによってダウンフォースを得るのではなく、F1マシンのシャシーそのものがダウンフォースを発生させるグラウンドエフェクト効果を持つマシンへと変えられている。

ところが、そのグラウンドエフェクト効果の副作用とも言うべきポーポイズ現象(高速走行時にマシンが激しく上下に振動すること)にF1チームたちは苦しめられており、メルセデスもこの問題への対応がうまくいっていなかったことが今シーズン序盤に不振をかこってしまった原因だと考えられている。

■マクラーレンもビッグ3チームとの差が拡大

こうした中、マクラーレンのテクニカルディレクターであるジェームス・キーが、『gpfans.com』に対し、新たな技術レギュレーションへの対応という部分で、レッドブルとフェラーリがライバルチームを圧倒している部分について説明を行っている。

2020年シーズンのコンストラクターズ選手権ではメルセデスとレッドブルに次ぐランキング3位となったマクラーレンは、2021年にはメルセデスやレッドブルと互角に戦えるチームとなることを目指していた。

ところが、2021年にはフェラーリが底力を見せてランキング3位に浮上。マクラーレンはランキング4位ではあったものの、ビッグ3チームには大きく離されてしまった。

そして、マクラーレンは、2022年の新技術レギュレーションが自分たちが大きく飛躍するためのきっかけとなるものと期待していたものの、今年もビッグ3には大きな差をつけられてしまい、現時点ではアルピーヌとランキング4位争いをしている状況だ。

■今年のレッドブルとフェラーリの強みは?

2018年シーズン途中までは現在アルファタウリと呼ばれているトロロッソに所属していたイギリス人技術者であるキーは、今年特にレッドブルとフェラーリが好調を示している理由について次のように語っている。

「そこにはいくつかの要素があるし、彼ら(レッドブルとフェラーリ)はいずれも、おそらく誰もが持っているわけではないものを持っているのだと私は思っている」

「彼らがどこで速いかなどといったことを重ね合わせて見れば、彼らのパフォーマンスは違うのがわかると思う。レッドブルの利点のいくつかは間違いなくストレートでの速さだ」

「彼らはストレートでとても優れている。だが、ストレートでの速さにより彼らのコーナリングのパフォーマンスも非常に安定している。そこが間違いなく我々との違いだ。我々はその地点にいないよ」

「彼らはそこでいくらかの効率性を手にしているのか、もしくは、ホンダエンジンが特にうまく機能しているのか、あるいはその2つの組み合わせなのかもしれない。そこから彼らのパフォーマンスの多くが生み出されているんだ」

一方、フェラーリの長所について、キーは次のように続けている。

「フェラーリを見ていると、ここ数年目にしてきたのと少し似ているが、特に中低速コーナーで強い。中でも、とりわけ低速が強いんだ」

■レッドブルとフェラーリの強さのカギは車高にある

キーによれば、今季のF1マシンは、車高の違いによるダウンフォース発生量の違いや、フロアの違いによるポーポイズ現象の発生などがそのポテンシャルを大きく左右しているのだという。

「レッドブルとフェラーリの両チームは、メルセデスもそうだが、車高を高くすることでグラウンドエフェクトマシンの低速性能を引き出すことに成功したのだと思う」

「誰もがそれを実現しようとしている。それは、こうしたマシンにおいては非常に難しいことなんだ。全体的なダウンフォースを得ようとすれば、常に低くなってしまうんだ。なぜなら、グラウンドエフェクト(地面効果)だからね」

「ダウンフォースを平坦化し、それをより安定させることができれば非常に大きなメリットが生まれることはわかっている」

そう語った50歳のキーは、次のように付け加えている。

「私から見れば、この2つのチームは現時点ではほかのどのチームよりも、それをうまくやることができているようだ」

■F1ベルギーGPで力関係に変化が?

こうした中、夏休み明け最初のレースとなる第14戦ベルギーGP(28日決勝)では、FIA(国際自動車連盟)がまとめたポーポイズ現象対策のための技術ガイドラインが施行されることになっている。

伝えられるところによれば、その技術ガイドラインによってレッドブルとフェラーリの優位性が弱まる一方、メルセデスにとっては有利になる可能性があると考えられているようだ。

ベルギーGPを機にチーム間の力関係に変化が生じることになるのか。そうした観点からも来週末のレースは要注目だ。

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