F1第13戦ハンガリーGP(ハンガロリンク)決勝レースが行われ、10番グリッドからスタートしたマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が抜きにくいサーキットで大逆転、今季8勝目を飾った。2位はルイス・ハミルトン(メルセデス)、3位はジョージ・ラッセル(メルセデス)で、メルセデスは2戦連続のダブル表彰台だった。
●【2022F1第13戦ハンガリーGP】決勝レースのタイム差、周回数、ピット回数
■レースレポート:F1ハンガリーGP
今週末、土曜日には雨が降ったにもかかわらず、ハンガロリンクには29万人の観客が詰めかけた。決勝レース前は心配されていた雨は降らず、ドライコンディションでのスタートになった。
予選19番手だったピエール・ガスリー(アルファタウリ)は、予選後にPUエレメントの年間規定数を超えて追加使用したため、グリッド後方からのスタートとなるはずだった。しかし、FIA技術代表の承認なしに交換したため、2022年F1スポーツ規則第40.3条に違反。したがって、2022年F1スポーツ規則第40.9条bに従い、ピットレーンからのレーススタートになった。
ジョージ・ラッセル(メルセデス)がポールポジションから初優勝を飾るのか、本命と言われているフェラーリが逆転勝利を掴むのか、10番手・11番手スタートのレッドブルF1がどこまで追い上げるのか、グリップ不足に悩んでいる角田裕毅(アルファタウリ)はどこまで追い上げてくるのか、夏休み前最後のレースは見どころ満載だ。
フォーメーションラップ
ルイス・ハミルトン(メルセデス)が「ブレーキにバイブレーションが出ている」と無線。心配だ。
1周目(オープニングラップ)
オールレッドからブラックアウト!夏休み前、最後のレースがスタートした。
ターン1はポールポジションのジョージ・ラッセル(メルセデス)がキープ。カルロス・サインツ(フェラーリ)、シャルル・ルクレール(フェラーリ)が続く。
大きなクラッシュはなさそうだ。
セクター1でイエローフラッグが出たが、すぐにグリーンフラッグに変わった。
2周目
バーチャルセーフティカー(VSC)が出され、一斉にスロー走行になる。ターン2で多くのデブリが散乱している。
リプレイ映像では、ターン2でランス・ストロール(アストンマーティン)のイン側に飛び込んだアルボンのフロントウイングが当たってしまい、エンドプレートを壊してしまったようだ。この接触についてはのちにお咎めなしと判断されている。
ケビン・マグヌッセン(ハース)とダニエル・リカルド(マクラーレン)にも接触があったようだ。
3周目
VSC解除でレース再開。DRSも使用可能になった。
この時点の順位は、ラッセル、サインツ、ルクレール、ランド・ノリス(マクラーレン)、ハミルトン、エステバン・オコン(アルピーヌ)、フェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)と続き、8番手にマックス・フェルスタッペン(レッドブル)、9番手にセルジオ・ペレス(レッドブル)、そしてケビン・マグヌッセン(ハース)というトップ10だ。
ペレスは、ギアを上げたときのエンジンの「変な音」について不満を漏らしている。PU交換をしているが、問題はないのだろうか?
4周目
レッドブルF1はペレスに「PUについては何も問題ない」と伝えた。コース上で順位を上げるのみだ。
5周目
ケビン・マグヌッセン(ハース)にメカニカルトラブルを抱えていることを示すブラック・アンド・オレンジ旗(通称、オレンジボール旗)が出された。マグヌッセンはフロントウイングのエンドプレートを損傷し、ピットインしてウイング交換した。
9周目
ペレスがオコンをパスして7番手へ。
10周目
ラッセルはレースをリードしているが、ソフトタイヤのため早めのピットインが必要になるはずだ。追うフェラーリ勢はミディアムタイヤでチャンスを待つ。
12周目
ターン1でハミルトンがランド・ノリス(マクラーレン)をオーバーテイクして4番手へ!すかさずフェルスタッペンもノリスをパスして5番手へ浮上。
15周目
ピットが騒がしくなってきた。ノリスとストロールが最初のピットイン。それぞれソフトタイヤからミディアムタイヤに履き替えた。
ここから順位が大きく動いていくだろう。各チームの戦略に注目だ。特に注目するチームはフェラーリかもしれない。
16周目
ダニエル・リカルド(マクラーレン)、セバスチャン・ベッテル(アストンマーティン)がピットイン。
トップのジョージ・ラッセル(メルセデス)がソフトタイヤからミディアムタイヤに交換して6番手でコースに復帰した。フェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)と並んでバトルするシーンがあったが、新しいタイヤのラッセルが楽に前に出る。
フェラーリがサインツに「ボックス、ボックス」とピットに呼んでいたが、サインツはステイアウト。逆にラッセルが先に入っているが、フェラーリの戦略はいかに?
17周目
カルロス・サインツ(フェラーリ)がソフトタイヤからミディアムタイヤへ交換。5番手エステバン・オコン(アルピーヌ)とアロンソの間でコースに復帰したが、すでにラッセルは4番手に浮上していた。
18周目
セルジオ・ペレス(レッドブル)がソフトタイヤからミディアムタイヤへ交換。ジョウ・グァンユ(アルファロメオ)の前、10番手でコースに復帰した。
19周目
ルイス・ハミルトン(メルセデス)がミディアムタイヤから同じミディアムタイヤに交換し、アロンソの後ろ7番手でコースに復帰した。ハミルトンはこの後、ソフトかハードタイヤに交換しなければならない。
20周目
ホームストレートでフェルスタッペンがアロンソをオーバーテイクして5番手に浮上。
21周目
トップのシャルル・ルクレール(フェラーリ)がミディアムタイヤから同じミディアムタイヤに交換し、ラッセルの後ろ、サインツの前となる2番手でコースに復帰した。
23周目
オコンがミディアムタイヤからハードタイヤに交換。コースに復帰すると、ホームストレートから同僚アロンソとリカルドの目の前で戻る。
オコンはアロンソを抑えようとしていたが、ターン3でアルピーヌ勢のインにリカルドが飛び込み、2台まとめてオーバーテイクした。
アルピーヌとしては、アロンソを前に出して、オコンがリカルドをブロックした方が良かっただろう。
27周目
トップのラッセルにルクレールが仕掛ける!しかしラッセルはうまく守り切った。
31周目
何度も仕掛けていたルクレールが、とうとうラッセルをオーバーテイク!フェラーリはようやくメルセデスF1を攻略し、トップが入れ替わった。
32周目
2番手に落ちたラッセルはすでに2秒の差をつけられた。すぐ後ろにサインツが迫っている。
フェルスタッペンが無線で「雨が落ちてきた」と伝える。モニターで雨粒が確認できた。これから雨が強くなったらレース展開は大きく変わる可能性が高い。
35周目
ソフトタイヤに交換した角田裕毅(アルファタウリ)が、単独スピン!幸いコース上でのスピンだったため、スピンターンをして復帰したが、タイヤにダメージを負った可能性もある。このスピンはタイヤが冷えていたためか、それとも霧雨が原因か?オンボード映像では縁石に乗り過ぎていたようにも見えたため、滑りやすくなっているのかもしれない。
38周目、フェルスタッペンがミディアムタイヤから同じミディアムタイヤに交換。6番手でコースに復帰した。ウェット路面になる前にタイヤが厳しくなったようだ。
39周目
トップのルクレールとラッセルがピットイン!ルクレールはミディアムタイヤからハードタイヤへ、ラッセルはミディアムタイヤから同じミディアムタイヤに交換した。
これでコース上のトップはサインツ、5秒後方にハミルトン、そしてルクレールと続き、ペレス、フェルスタッペン、ラッセルというラインナップだ。
41周目
ペレスを抜いて4番手に上がっていたフェルスタッペンが、ターン1でルクレールをオーバーテイク!3番手に立った。実質のトップだ。
しかし、フェルスタッペンが最終ターン手前のターン出口で単独360度スピン!ルクレールが抜いていき、すぐ後ろのペレスとラッセルが迫ったが、団子状態となったところでラッセルがペレスをオーバーテイク!
45周目
フェルスタッペンが再びルクレールをオーバーテイクして3番手へ浮上!ハードタイヤのルクレールはかなり厳しいようだ。
46周目
フェルスタッペン「軽く雨が降ってる」と無線で伝える。ウェットレースになるのか?それとも霧雨で終わるのか?レースはまだ20周以上残っている。
47周目
トップのサインツがミディアムタイヤからソフトタイヤに交換!左リアタイヤの交換に手間取り、5番手でコースに復帰した。
54周目
ハードタイヤで粘っていたルクレールがソフトタイヤに交換。雨の可能性もあったためステイアウトも考えられたが、コース上でもリアが滑っていたことからグリップが限界に達し、耐えきれなくなったようだ。
61周目
残り10周となった時点での順位は、フェルスタッペン、ラッセル、サインツ、ハミルトン、ペレスまでがトップ5。それに続くのはルクレール、ランド・ノリス(マクラーレン)、アロンソ、オコン、ボッタスまでがトップ10だ。
63周目
ホームストレートでDRSを使うハミルトンがサインツをオーバーテイク!トト・ヴォルフ代表もガッツポーズだ。
70周のレースも残りわずかとなり、タイヤを温存してきた各ドライバーが動き出した。
65周目
DRSを使うハミルトンが同僚ラッセルをオーバーテイク!これで2番手に浮上した。4番手のサインツは2秒後方にいるため、メルセデスF1はダブル表彰台を狙えそうだ。
67周目
ターン3でセバスチャン・ベッテル(アストンマーティン)がランス・ストロール(アストンマーティン)をオーバーテイクしてポイント圏内の10番手へ浮上。
68周目
ターン11でイエローフラッグ。バルテリ・ボッタス(アルファロメオ)がコース脇にマシンを止めた。これでバーチャルセーフティカー(VSC)となった。残り3周だ。
69周目
VSC解除でレース再開。
70周目(ファイナルラップ)
10番グリッドからスタートしたフェルスタッペンがトップでチェッカーフラッグ!ハミルトンとラッセルのメルセデスF1勢がまたもダブル表彰台を獲得した。
金曜日時点で圧倒的な速さを見せていたフェラーリだったが、レースを振り返ると結果的には完璧な戦略とは言えず、サインツが4位、ルクレールは6位に終わった。夏休み中に「レース戦略」という大きな宿題を克服したい。
昨日の予選後も「今週末はグリップがない」とタイヤに苦しんでいた角田裕毅だったが、終始最後尾での単独レースとなり、2周遅れの19位でフィニッシュした。後半戦に向けて安定した結果を出せるようにしたいところだ。
20位はボッタスと記録されているが、68周目にマシンを降りているためチェッカーフラッグは受けていない。
■F1は夏休みへ
ここからF1シーズンは夏休みに入り、夏休み期間中の作業は厳重に制限されることになる。また、夏休み中にいくつかの移籍や契約の報道が入ってくるだろう。夏休み前には思うような結果が出せなかった角田裕毅の去就も気になる。
次戦は超高速サーキット、F1第14戦ベルギーGP(8月26ー28日)からグランプリは後半戦を迎える。