メルセデスのチーム代表を務めるトト・ヴォルフが、シルバーストンで行われる今週末のF1イギリスGP(7月3日決勝)では、レッドブルやフェラーリとの差を少し縮めることができるはずだと語った。
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前戦カナダGPの舞台となった2週間前のモントリオールでは、F1チーム首脳たちが集って、いくつかの課題についての議論を行われた。そして、今週末のシルバーストンでも再びF1チーム首脳たちによる会議が行われる予定となっている
■モントリオールでの会議では激怒していたヴォルフ
モントリオールで行われた前回の会議ではFIA(F1統括団体の国際自動車連盟)が提示したポーポイズ現象対策に関する話し合いが行われたものの、ほかのチーム首脳たちからメルセデスの姿勢に対して批判的な意見が出されたことでヴォルフが激怒したと伝えられている。
さらに、ライバルチームの首脳たちの中には、その会議では『Netflix(ネットフリックス)』のF1ドキュメンタリー制作チームがカメラを回していたことから、ヴォルフは意識的に「芝居がかった」態度をとっていたのではないかと批判する者たちもいた。
だが、ヴォルフはシルバーストンで行われる会議でも大人しくしているつもりなどないと主張している。
■この論争を楽しんでいるとヴォルフ
ヴォルフは、母国オーストリアの『Kronen Zeitung(クローネン・ツァイトゥング)』に対し、「毒矢」のような批判を浴びせられても自分には痛くも痒くもないと語り、笑いながら次のように付け加えた。
「あんなのはおもちゃの鉄砲から発射される泡の弾みたいなものだったよ」
実際のところ、現在の成り行きに怒りや恐れを感じているのかと質問されたヴォルフは次のように答えている。
「まったくそんなことはないよ」
「私は本当にこの論争を楽しんでいるんだ」
ヴォルフは、現在メルセデスが抱えているパフォーマンス問題を考えれば、ここで引き下がるわけにはいかないし、現場で率先してこの問題に対応していくつもりだと次のように続けている。
「今のところ、私はバルコニーにいるよりもダンスフロアにいる方が多いんだ」
「この問題をうまく解決することが重要なんだ。そうすれば後継マシンをどのようなものにするかを検討することもできるからね」
ともあれ、今週のF1チーム首脳たちの会議でもFIA(F1統括団体の国際自動車連盟)が提示したポーポイズ現象対策に関する意見の交換が行われる予定だが、ヴォルフにはそこで大人しくしているつもりはなさそうだ。
■シルバーストンでは差を縮めることができるはず
だが、ヴォルフは、第8戦アゼルバイジャンGP決勝でルイス・ハミルトンの背中に大きなダメージを与えたメルセデスF1マシンのポーポイズ現象対策はかなり進んでおり、今週末のシルバーストン・サーキットではあまり大きな問題を抱えずにすむだろうと次のように語った。
「我々はコンセプトを変えたんだ。開発で想定していたほど低い車高では走ることができないからね」
「もし、我々が正しい方向に進んでいるとしたら、そして私はそう信じているが、もはやコンマ8秒も後れをとることはなく、もっと(差は)小さくなるはずだ。少なくとも、それが私の願いだよ」
「我々にとっては、FIAの助けがあろうとなかろうと、バウンシング(マシンが跳ねること)をうまく制御することが重要なんだ」
ヴォルフは、イギリスやフランスでは強さを発揮できるだろうと次のように付け加えている。
「楽観的に考えるのは愚か者だけだ。しかし、シルバーストンとル・カステレ(第12戦フランスGP/7月24日決勝)は我々のマシンによく合うだろうし、ストップウォッチが何と言うか様子を見よう。それは決してウソをつかないからね」。