ミハエル・シューマッハと並ぶ通算7回のF1ドライバーズタイトル獲得記録を持つルイス・ハミルトン(メルセデス)だが、現在は勝利することにこだわらなくなっている。
そう考えているのは、2016年シーズンまでF1最高責任者として君臨していたバーニー・エクレストンだ。
■2022年のタイトル獲得が絶望的なハミルトン
昨年はレッドブルのマックス・フェルスタッペンに年間チャンピオンの座を譲ったハミルトンだが、今年はF1最多記録となる8回目のドライバーズタイトル獲得を目指している。
しかし、今年導入された新F1技術レギュレーションのもとで設計・製造されたメルセデス2022年型F1マシンにはレッドブルやフェラーリと戦えるだけの戦闘力がなく、ハミルトンは現時点ではドライバーズランキング6番手にとどまっている。
今季はまだあと13戦が残っているとは言え、ランキングトップのフェルスタッペンとのギャップは現時点ですでに98ポイントに開いており、現実的に考えれば、ハミルトンが今年のドライバーズタイトルを獲得できる可能性は限りなくゼロに近いと言えるだろう。
■ハミルトンは負けることを気にしていない
こうした中、91歳のエクレストンは、ハミルトンはメルセデスのチーム代表を務めるトト・ヴォルフの支持さえ失いつつあるのではないかと考えているようだ。
エクレストンは、イギリスの『Daily Mail(デイリー・メール)』紙に次のように語っている。
「トトはルイスに少しばかりうんざりしてきているよ」
「彼(ハミルトン)が頑張っているようには思えないだろう?」
「別の言い方をすれば、ルイスは負けることを気にしていないようにも見える」
■ハミルトンらしくない。簡単に負けすぎている
2021年のF1最終戦アブダビGP決勝終盤に起こったセーフティカー導入時のレース運営によってタイトル獲得チャンスを奪われてしまったハミルトンは激怒し、そのままF1を引退する可能性もあるとすら考えられていた。
今年もF1を続け、改めて8回目のタイトル獲得に挑戦するはずだったハミルトンだが、エクレストンはすでにそのチャンスがないことをハミルトンは理解しており、それゆえ、これまでのシーズンとは異なるアプローチで2022年シーズンを戦っていると考えているようだ。
「彼らしくないんだ」
エクレストンはそう語ると、次のように続けた。
「彼は競争本能を持っている。だが、私の好みからすれば、ちょっと簡単に負けている」
「私は、彼が積極的にジョージ・ラッセルを助けているとは思わない。彼が何かしているとは思わないね。彼はあまり気にしていないのだと思う。彼には、かつてやったような勝利に向けた努力をする心構えがないんだ」
■ハミルトンはすでに次の契約交渉を意識?
エクレストンはさらに、現在はメルセデスと2023年までの契約を結んでいるハミルトンは、すでに次の契約交渉のことを見据えているのではないかと次のように付け加えている。
「ルイスはトトに自分の立場を売り込むかもしれない。『僕は今これだけもらっている。僕はこれで辞めるから、もらえるはずだった額の半分をくれ』とね」
実際のところ、ヴォルフも、ハミルトンが2023年シーズン後もメルセデスに残留するかどうかはまだはっきりしてないことを隠しておらず、「2024年の話をするには早すぎる」と主張している。