レッドブル首脳のヘルムート・マルコ(モータースポーツアドバイザー)が、セルジオ・ペレスが2022年のF1ドライバーズタイトル獲得に挑戦することを妨げるつもりはないと主張した。
■2022年のタイトル争いに加わってきたペレス
レッドブルは5月31日(火)に、メキシコ人ドライバーである32歳のペレスと2024年まで契約を延長したことを発表した。
だが、実際には今季のF1第7戦モナコGPの週末がスタートした5月27日(金)にレッドブルとペレスが契約書にサインしていたことが明らかとなっている。
そして、そのモナコGPでは、金曜のフリー走行から日曜の決勝まで、全てのセッションでペレスが2021年のF1チャンピオンであるチームメートのマックス・フェルスタッペンを上回る結果を残して見せた。
モナコGPで今季初、F1通算では3勝目となる勝利を飾ったペレスは、現在ドライバーズランキングトップにいるフェルスタッペンとの差を15ポイントに、そして2番手につけているフェラーリのシャルル・ルクレールとの差を6ポイントに縮めており、数字的には十分今年のドライバーズタイトルを狙えるポジションに位置している。
■今後の展開次第ではペレスにもタイトル獲得のチャンス
「彼(ペレス)はF1チャンピオンになることができるよ」
ドイツの放送局『n-tv』にそう語ったマルコは次のように続けた。
「だが、そのためにはコース上で明らかにマックスに勝つことができるスピードがなければならない」
「我々は、通常チームオーダーを出すことはないし、ナンバー1を決めるという方針もないんだ」
「(今季ここまでの)結果を比較すれば、マックスが4勝、ペレスが1勝だ。だから、マックスの方がより安定している」
「絶対的なスピードという点では、マックスが圧倒しているが、今後どう展開していくかが楽しみだね」
■レースごとに有利な方のドライバーを優先するとレッドブル首脳
バルセロナで行われた第6戦スペインGP決勝では、レッドブルがペレスに対してフェルスタッペンを先行させるようチームオーダーを出し、これに対してペレスが「不公平」だと不満を示すシーンが見られた。
一方、モナコGPに関しては、フェルスタッペンの父親であるヨス・フェルスタッペンが、レッドブルは「マックスを助けるためにほとんど影響力を行使しなかった」と批判している。
マルコは、それはレッドブルが全てのレースでチャンスを最大限に生かそうとしているだけの話だと次のように続けている。
「チェコ(ペレスの愛称)は(バルセロナで)できるだけすぐにマックスを前に出すよう伝えられていた。それはマックスに勝つチャンスがあったからだ。2人は全く異なるタイヤ戦略をとっていて、マックスの方がうまくいっていたんだ」
「勝利し、チームとしてポイントをとることが大事だったからね」
■まだ2022年型レッドブルマシンがしっくりきていないフェルスタッペン
しかし、マルコは、全体的に見れば、この2人の中ではフェルスタッペンの方が速いのは間違いないと考えているようだ。
「モナコでは、彼(フェルスタッペン)は全てのプラクティスを通じて1つのコーナーに問題を抱えていたんだ。そのために、彼はペレスの後塵を拝してしまっていた」
「ハンドリングがまだ彼の好みに合っていないんだ。彼はフロントが絶対的にグリップするマシンを望んでいるからね」
■今年はダブルタイトル獲得を目指すレッドブル
ともあれ、レッドブルにとって今年は2013年のセバスチャン・ベッテル以来となるドライバーとコンストラクターの両タイトルを獲得する非常にいいチャンスが訪れているとマルコは考えている。
「いいチャンスがあるよ。我々には2人の強力なドライバーがいるからね」
「ペレスはよくなっているし、技術的な変更のおかげでマシンとの相性もよくなっている。我々は信頼性にはまだ取り組む必要がある。3度も故障したというのは多すぎるからね。だが、速さと安定性という点で言えば、コンストラクターズタイトルを狙えると言うこともできるよ」
そう述べたオーストリア出身のマルコは、ドライバーズタイトル争いに言及しながら、次のように付け加えた。
「私は、今のところ、ルクレールが我々にとって最強のライバルだと考えているよ」。