アストンマーティンのチーム代表を務めるマイク・クラックが、4度F1チャンピオンに輝いたセバスチャン・ベッテルに2023年もこのチームで走りたいと思わせることが今後に向けての目標だと語った。
■今季限りでのF1引退も噂されているベッテル
アストンマーティンとチーム名が変わってから2年目のシーズンを迎えているシルバーストーンを本拠地とするチームだが、これまでとは大きく異なる新たなF1技術レギュレーションにうまく対応できず、現時点ではコンストラクターズランキング9番手に位置している。
ここまでにすでに7戦を消化しているものの、ベッテルはまだ5ポイントしか獲得できておらず、ドライバーズランキングも15番手に沈んでしまっている。
F1関係者の中には、優勝や表彰台を争うどころか最後尾に近いところで戦うことを強いられているベッテルのモチベーションが低下するのは間違いなく、今シーズン限りでF1を引退する可能性が高くなっていると考えている者もいるようだ。
そして、メディアはすでにその後任ドライバーに関する推測もスタートしており、今年でアルピーヌとの契約が切れるフェルナンド・アロンソや、2021年のF2チャンピオンであるオスカー・ピアストリ、さらにはベッテルとは親しい関係にある同じドイツ出身のミック・シューマッハ(ハース)などが候補にあげられているようだ。
■ベッテルがF1を去る兆候は見られない
だが、今季からアストンマーティンを率いている元BMWモータースポーツ責任者のクラックは、34歳のベッテルからはヘルメットを脱ぐ気配は感じられないとドイツの放送局『n-tv』に次のように語った。
「報告会や電話での彼の関わり方を見れば、やる気がないのにあんなふうに取り組む者はいないよ」
「走りたくなければ、誰もあんなふうに行動することはないよ」
今季のF1第7戦モナコGPが開催された先週末のモンテカルロ市街地サーキットでのベッテルは、そのことを完全に示していたとクラックは主張している。
「1周目から最高のパフォーマンスを見せていたよ」
そう語ったクラックは、2022年の残りの期間に向けてのアストンマーティンの目標は、ベッテルが「自分の才能を使うことができる」コンディションを創り上げることだと付け加えている。
■ベッテルを追い込むつもりはない
ルクセンブルク出身のクラックはさらに、ベッテルが新契約にサインするにあたって期限を設けるつもりもないと次のように続けた。
「セバスチャンのような人がいるのであれば、彼をキープしようとしなければならない」
「並外れたドライビングクオリティと経験を持ち、我々の進歩を助けてくれる非常に前向きな人物だからね」
ベッテルを納得させるために、チームはクルマとチームをより良いものにするために取り組んでいると語った50歳のクラックは、「彼を追い込む必要はないよ」と付け加えている。
■ミック・シューマッハ加入の噂は否定
一方、現在ハースで走っているシューマッハがベッテルの後任としてアストンマーティンに移籍する可能性もあると噂されていることについて質問されたクラックは次のように答えている。
「我々の方針ははっきりしている。セバスチャンと続けたいということだ」
「そのほかのことは後日考えることになるだろう」
しかし、クラックは、アストンマーティンももちろんドライバー市場には常に目を配っており、そこには現在「困難な時を過ごしている」シューマッハも含まれていると認めている。
「しかし」、とクラックは続けた。
「彼のチームや環境の詳細について、判断できるほどには知らないんだ」。