ルイス・ハミルトンは、メルセデスが問題の多い2022年型F1マシンをあきらめ、すぐに2023年型マシンの開発に焦点を移すのは間違いだと考えている。
■ハンドリングの問題を抱えるメルセデスの2022年型F1マシン
2014年から昨年まで8年連続でコンストラクターズタイトルを獲得した最強チームのメルセデスだが、今年のマシンは強いポーポイズ現象(高速走行時にマシンが上下に何度も振動する現象)に苦しめられており、レッドブルやフェラーリに大きく水をあけられている。
バルセロナで行われた第6戦スペインGPではマシンに改善の兆しが見られたものの、先週末に行われた第7戦モナコGPでは7回F1チャンピオンとなった実績を持つハミルトンは再び極端なハンドリング問題に苦しめられてしまった。
■モナコでは振動がひどすぎて歯と顎が震えながらレースを終えた
来週末にバクーで開催される第8戦アゼルバイジャンGP(12日決勝)について質問された37歳のハミルトンは次のように答えた。
「モナコのときのようなクルマでないことを祈るよ」
「あれはこのクルマでここまでに経験した中で最悪だったよ。バンプ(路面の凹凸)のせいでね。もう忘れてしまいたいよ。歯と顎の振動がひどくて、僕は震えながらレースを終えたんだ」
「それがポーポイズ現象に関連するものだったのかどうかはわからない。だけど、前のレースではそんなことはなかったんだ」
■メルセデスはもう今年のマシンはあきらめるべき?
ともあれ、今年は通算8回目のF1ドライバーズタイトル獲得を目指しているハミルトンだが、全22戦中7戦を終えた時点ですでにランキングトップのマックス・フェルスタッペン(レッドブル)との差は75ポイントに開いている。
ハミルトンが現時点で50ポイントしか獲得できていないことを考えれば、その差はすでに逆転不可能だと考えている者が多いのも事実だ。
F1関係者やメディアからは、2022年のタイトルに手が届かないことが明らかとなった以上、メルセデスはもう今年のF1マシンはあきらめ、2023年に向けて新たなマシンを開発する方に焦点を合わせていくべきだという声も聞こえてくるようになっている。
■大事なのは今年のマシンの問題を見極めること
しかし、そうした意見に対し、ハミルトンは次のように主張した。
「僕はそんな風に考えたことはなかったよ」
「だけど、次のクルマを造る前に、このクルマの何が悪いのかを見極めなければならないと僕は思っている。もし別のクルマを造り始めたら、簡単にミスを犯してしまう可能性もあるからね」
「僕はこのクルマを完全に理解することが重要だと思うんだ。それはまだ達成できていないし、それができればどの道に進むべきかという考えを持てるはずさ」
そう語ったハミルトンだが、「来年のクルマには、このクルマから引き継いで欲しくない部分がたくさんある」のは間違いないと認めている。